サバンナランダー号 |
サバンナランダー号はケアンズからキュランダを経由しフォーサイスまでを4日かけて往復するツアー列車です。(4日かかると言っても寝台列車ではなく途中沿線の宿に泊まりつつ進みます。) 使用される車両は1960年代に製造されたステンレスのディーゼルカーで、そのスタイルに魅力を感じ乗りたくなったのですが残念なことにこの列車に4日間付き合うには日程と予算に余裕がありません。 ただ幸いなことに途中区間のみの利用も可能なので復路にバスを使うことでケアンズから日帰りできる区間だけ乗ってみることにしました。 |
★ケアンズ駅 サバンナランダー号は朝6:30にケアンズを発車するので眠い目こすって5時に起き6時に宿を出て駅に向かいました。まだ暗いケアンズ駅のホームに上がると丸っこい顔のサバンナランダー号が3両編成で停まっていてもうそこそこ人が乗り込んでいます。 駅には改札口がないので出発の準備をしている乗務員さんをつかまえ直接運賃を支払います。ケアンズからマリーバまでは56ドルと結構なお値段ですが「遊び乗り列車」に3時間乗るなら仕方ないところでしょうか。 |
特に座席指定はなく好きなところに座っていいとのことでした。車内には転換クロスシートがずらりと並び、木の内装とカーテンがいい雰囲気を出し、天井はトタン板みたいな波々コルゲーションが剥きだしです。 乗客を見るとほとんどが引退後のご老人という感じでした。安くない運賃を払い4日もかけてのんびりと鉄道旅行しようというのは鉄ちゃん以外だとそんなところでしょうか。こんな渋い列車が成り立つというのはとてもうらやましいものです。 |
運転室は客室と特に隔離されていません。そのため丸っこい風貌と共にどことなく今はなき名鉄のいもむしこと3400形電車を思い出しました。 列車は発車ベルもなく静かにケアンズ駅を発車し、市街地を過ぎると40km/hも出てないようなのろのろ運転で熱帯雨林を登って行きます。時々ツアーバスのような感じで沿線の名所などの説明が車内放送で流れるのを聞いていると何やら大井川鉄道みたいに思えてきました。 |
★鉄橋見物 やがて岩肌にへばりついた鉄橋上で停車しました。ここはストーニークリークという川の鉄橋で沿線でも屈指の展望ポイントです。見物のため10分ほど停車するというので降りてみます。 特にホームはなくステップから降りるのですが、乗客の大半が老人なのにステップが高いので乗り降りが大変そうでした。鉄橋の下は断崖絶壁の滝壷ですがその割には結構簡易な歩道でちょっと足がすくみます。 |
ちなみにケアンズ〜キュランダ間を毎日運行する「キュランダ観光鉄道」の客車列車はこの地点に停まらないのでここで降りて見物するにはこのサバンナランダーに乗るしかないようです。さすが4日もかけて走るだけにあれこれと飽きさせない工夫をしているのでしょう。 |
★キュランダ駅 観光地の玄関口キュランダ駅に到着しました。ここでも10分程度停車しましたが特に見所はありません。植物の多いキレイな駅自体が見所とも言えますけれど。 キュランダ観光鉄道の客車列車が来るのはここまででキュランダ駅から先に行く旅客列車はこのサバンナランダー号だけです。つまりキュランダ駅から先は一週間に一往復しか旅客列車がない区間ということになります。 |
★マリーバへ キュランダ駅を過ぎると徐々に熱帯雨林がサバンナに変わります。勾配も軽くなりスピードが多少上がってきました。といってもせいぜい60km/hくらいのようでしたが。 車窓も乾燥しアリ塚がいくつもいくつも見えてきます。最初はおおあれがアリ塚だ、と感心していましたがあまりに数が多いのでそのうちただの岩くらいにしか思わなくなりました。 |
マリーバ駅到着直前の右手にゴルフ場があります。車内放送が流れこの辺りで野生のカンガルーが多く出没するというので目を凝らすと確かにたくさんのカンガルーがぴょこぴょこ飛び跳ねていました。 |
高原らしく空が広いマリーバに定刻より15分遅れの9:30に到着しました。もっと乗っていたいところですがマリーバを出ると公共交通でケアンズに日帰りすることができなくなるので泣く泣くここで降ります。旅客列車は一週間に一往復この列車が停まるだけの駅だけあり駅舎はありませんでした。 というわけで4日かかるツアー列車にたった3時間のおつきあいでしたが、列車を見送ったら今度はマリーバを見物する余裕もなくキュランダに戻る路線バスに乗るあわただしさです。われながらアホらしいというかなんというか、いつかのんびり全区間乗ってみたいものです。 |
マリーバからのバスの話はこちらです。 |
景色は乗った後に(表紙)>オーストラリアもくじ>このページ |