ティルトトレイン


 南部からケアンズに来る長距離列車にはプッシュプル編成のティルトトレインと客車列車のサンランダー号があります。

 今回の旅行は滞在型なのですがせっかく広いオーストラリアまで来たのだから長距離列車の雰囲気も少しは味わいたいと思い、ケアンズからケアンズ南部にあるバビンダというところまでティルトトレインに乗りグレイハウンドバスで戻るという日帰りをすることにしました。


 ケアンズ駅はショッピングセンターの裏手にありなんだかショッピングセンターのオマケみたいな感じです。

 切符は前日にケアンズ駅の切符売り場で買ったところA4用紙にプリンターで白黒印刷したバウチャーだけで切符らしい切符はありませんでした。

 鉄道のほかグレイハウンドバスや各種ツアーも扱っているので帰路のグレイハウンドの切符を一緒に手配しましたがこれもやはり切符はなくバウチャーと、合理的ではあるもののちょっと残念です。


 ティルトトレインもサンランダー号もケアンズ発車は朝の9:15分です。ホームに人気は少なくさほど活気もないのですが、それでも長距離列車の発車前というのはどこか華やいだ雰囲気があります。

 ケアンズ駅はシンプルなホーム構成で相対式ホームが向かい合っているだけです。ティルトトレインは駅本屋側の1番線に停車し、キュランダ観光鉄道は跨線橋を渡った2番線に停車していました。どうも長距離列車を優先したホーム使用になっているようです。


 長距離列車らしく乗車前に手荷物を預けられます。私たちは日帰り利用なのでほとんど手ぶらでしたが1時間強の乗車というのはこの列車にケアンズから乗る場合ちょっと考えられないようなアホな利用の仕方のようです。発車後改札に来た車掌さんにえらくすぐ降りるんだねえとあきれられました。

 荷物車は両開きの大きな自動ドアつきで広いスペースがとられています。ティルトトレインは9両編成ですが、この編成の規模で客室と別に大きな荷物室が設置されているのですからたいしたものです。


 発車後ビュッフェはすぐに朝食サービスを開始していました。 厨房にはレンジや冷蔵庫などが並んでいるのが見えます。ここを基地にしてワゴンによる車内販売も行われていました。


 ケアンズ発のティルトトレインは全席ビジネスクラスという贅沢なモノクラス編成で2+1の3列座席が各車ずらりとならんでいます。夜行列車ですが寝台はありません。こちらはどうせ短時間だからビジネスではなく安い座席の方がありがたいのですが。バビンダまでたかだか50km程度の距離で28.6ドルもしました。 

 各座席についたモニターには飛行機のように現在地や目的地をしめすチャンネルもあり特筆すべきは速度表示が見られることで乗り鉄にとってうれしいサービスです。


 定刻になり列車は発車ベルなしでしずしずと走り出しました。バビンダまではカーブが多いためか3〜40km程度のノロノロ運転が多く出してもせいぜい70km/h程度という情けないスピードでした。

 そろそろサトウキビの収穫時期で、沿線のサトウキビ鉄道には貨車が並んでいるのが見えます。もうちょっと時期がずれてれば収穫期の走行シーンが見られたはずで残念無念です。例年より涼しい年で収穫も遅めだったそうですから日ごろの行いが悪いせいかもしれません。


 というわけでたった1時間10分の短い乗り鉄が終わりバビンダ駅に到着しました。バビンダ駅はホームが短い小さな無人駅で、列車は停まりきれません。車掌さんが私たちのために一ヶ所だけ扉を開けます。

 なんとなく予想はついていましたが降りるのは私と連れの2人だけでした。乗る人もいません。これから延々と南下するティルトトレインを見送ってわずかな乗り鉄を終えました。


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