ローカル電車でグムンデンへ


 リンツ〜ザルツブルグ間にあるLambach駅からフォルヒドルフ鉄道(Vorchdorferbahn)という標準軌の小さな電化路線が出ていて、その終点Vorchdorf-Eggenberg駅からさらにトラウン湖畔の町グムンデンまでトラウンゼー鉄道(Traunseebahn)というメーターゲージの電化路線が伸びています。この2つの路線に乗りに行きました。


★フォルヒドルフ鉄道

 まずOeBBとフォルヒドルフ鉄道の乗換駅Lambach駅から話を始めます。乗ってきたOeBBの鈍行は大きなスノープラウが目立つボンバルディアの標準型電車です。この辺りの鈍行はこの車両ばかりでした。降りて駅の発車案内を見るとOeBBとフォルヒドルフ鉄道の時刻が一緒に表示されています。

 フォルヒドルフ鉄道の乗り場はLambach駅本屋側のホームにくっついた頭端式ホームです。キレイなホームや架線柱を見ていたらやって来た電車もピカピカでした。この車両は1953年製と相当のベテランなのですが古さを感じさせない整備っぷりにびっくりです。

 車内は大きな窓とゆったりとしたボックスシートが並び優雅な雰囲気です。運賃はワンマンの先払式なので個室でない運転席に行き運転士さんから切符を買いました。

 Lambachから終点のVorchdorf-Eggenbergまでは15km弱・24分間程度です。釣り掛け音を響かせ軽やかに林やトウモロコシ畑の中を走っていきます。途中駅は乗降客がいない場合通過するため、降車客は事前に運転席まで行って運転士さんに降りる旨知らせていました。降車ボタンのような申告装置はありません。


★乗換駅

 かぶりついたりウロウロしていると立派な座席に落ち着く間もあまりないまま終点のVorchdorf-Eggenbergに着いてしまいます。ホームの奥には車庫が広がっていて単行ではない車両も並んでいました。


★トラウンゼー鉄道

 フォルヒドルフ鉄道に隣接してトラウンゼー鉄道のホームと車庫も広がっています。両線の雰囲気はよく似ているので線路の幅をよく見なければ規格が違うことに気がつかないまま乗り換えてしまいそうです。側線の外れに1921年製の単車が見えたので近寄ってみると非常にキレイでうれしくなりました。

 乗り換えたトラウンゼー鉄道の車両も1954年製とフォルヒドルフ鉄道で乗った車両と同時代のベテランですがやはりよく整備され車内には新しい座席が並び古さを感じさせません。

 この車両は扉付近にデッキがあり客室と運転室が別ですがワンマン運賃先払い・申告降車方式はフォルヒドルフ鉄道と同じなので降りるときはやはり運転士さんに頼む必要があります。車窓の雰囲気は線路の幅が狭まったくらいでそう変わりません。


 26分・15km弱走って終点のGmunden-Seebahnhofに到着しました。グムンデンの町外れに位置し駅舎はなく広々としています。この駅とLembergweg駅の間はOeBBの列車が直通するため標準軌とメーターゲージの3線区間になっていますが、普段はメーターゲージ側のみが使われているため外側の標準軌用レールはだいぶ錆びていました。


 ホームの端は機回し用ポイントの先でレールが終わり、すぐにトラウン湖のよい景色が広がっています。グムンデンの中心市街からはやや離れているので静かなところでした。なおここから800mほど先、グムンデンの町中にトラムの停留所があります。このトラムはOeBBのグムンデン駅前まで行く路線ですのでグムンデンの町には2つの鉄道ターミナルがあるということになります。

 という具合に2つの路線を乗り継ぎあるいは乗りくらべしてみて、どちらも決して新しくはない車両を美しく保ち、それが整った沿線を行く姿に色々な意味での意識の高さを感じさせられました。キレイな電車とはこういうものというお手本を見せられたような気分です。


(2010年訪問)


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