トロワバレー蒸気鉄道(前編)


 ベルギーに「トロワバレー蒸気鉄道(Chemin de fer a vapeur des trois vallees/直訳は三渓谷蒸気鉄道・略称はCFV3V)」という保存鉄道があります。ここでは蒸気機関車のみならずディーゼル機関車や気動車も動態保存していて乗れるというので行ってみることにしました。

(付近の路線図はこちらをご覧下さい。)


 CFV3Vの列車はブリュッセルの南方に位置するシャルルロワという都市からさらに南下したMariembourgという小さな町から出ています。Mariembourg駅まではシャルルロワ南駅(Charleroi Sud)でCouvin行きの気動車に乗って列車により40分〜1時間弱程度です。Mariembourg駅の西側にはきれいな町が広がっていてちょっとした買い物や食事、小休止などするのに悪くなさそうな雰囲気でした。

 CFV3Vの乗り場はMariembourg駅ではなくやや離れた町外れにあります。Mariembourg駅からCouvinに向かう線路沿いなので分かりにくい位置ではありませんが、駅から線路に沿った道がないので町側を迂回することになり歩いて10分程度かかりました。下の画像はCFV3V入口にある踏切付近で、左の新しい気動車はMariembourg駅を出発してやって来たCouvin行き、右の画像の建物は機関庫です。ベルギー・フランス国旗と並んで高名なベルギービール「シメイ(Chimay)」の旗が翻っているのが面白い点で、ここはシメイからそう遠くない位置にあり、CFV3V構内にあるカフェ・バーや売店棟でもシメイを飲むことができます。


 踏切を渡って構内に入ると広い敷地に多くの車両が見えわくわくしますが、まずとりあえず機関庫に入りました。私はあまり蒸気機関車に興味がないので紹介は公式サイトに任せますが、ベルギーのみならず多くの国で製造・活躍していた車両を保存している国際派ぶりは大したものだと思います。


 あまり興味がないといいながら気になったのがこの小さな縦型ボイラー蒸気機関車「DG22」で、1913年製ということは100年モノです。これはいつか動くところを見たいと思いました。


 機関庫の片隅では古い客車がレストア中です。ところでここの蒸気機関車にはなぜか時々ぬいぐるみが置かれていました。何かのゲン担ぎかとも思いましたが「神棚」はちゃんとあり謎のままです。


 機関庫の外にもたくさんの車両が並んでいます。動態保存されているカラフルな気動車は曇天の雰囲気を明るくしていました。


 一番目立っているように見えたのは「Picasso/ピカソ」の愛称を持つ紅白のフランス製気動車X3800です。単行でも使える気動車で、運転室が側面上方に出っ張った一か所だけというヘンテコな姿が印象に残りました。様子がピカソの絵みたいだということでこの愛称なのだそうです。横にした名鉄パノラマカー状態とでも言えばいいのか、見ていると何とも不思議な気分になってきます。その変わった点も含め洗練されたデザインなので古さを感じさせませんが、1950〜61年の間に製造されたというなかなかの年代モノです。

 そんな『ピカソ』のあとに右のシンプルなベルギーのローカル用気動車(AR46・1952年製)を見ると塗色とあいまってずいぶん渋く感じました。


 ベルギーの気動車は色違いのAR46のほか大きい車体のAR44(1954年製・左の青い車両)が動態保存されています。さらにルクセンブルクで活躍していたドイツ製気動車Z200(1956年製・右の丸っこい車両)もありと蒸気機関車と同様に気動車も各国の車両が集まっているのでまたも感心しました。


 と見物しているうちに保存運行列車の発車時刻になりましたが、乗ったときの話や着いた先の展示物などまだ長くなるのでここまでを前編とし一旦区切ります。

 つづきは後編をご覧下さい。


景色は乗った後に(表紙)ベルギーもくじ>このページ

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