「世界最長の路面電車」の動態保存(後編) |
前編に引き続き世界最長の路面電車「Kusttram」の動態保存運行の様子を見ていきます。 |
前編の車体更新車の次に運行されたのは1931年製の9994号でした。前編の車体更新車10041号のように「ヒゲ」がついていないのでふと思ったのですが、この一色の塗装は昔の東武電車の色「セイジクリーム」に似ている気がします。日光など東武の軌道線が後々まで残っていたらこんな感じになったかななどと想像してしまいました。それはさておき一見すると真っ平らな正面は中央の窓だけ傾斜がつきなかなか凝っています。 |
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客室は2部屋に区切られボックスシートが並ぶとても落ち着いた雰囲気です。この日の保存車両の運行はどの車種も同じ区間ですが、違う車両だと別の味がありその点は苦になりません。キレイなDe Panne駅で新しめのベルギー鉄道の電車と並ぶのもなかなか面白い雰囲気です。両運転台なので戻りの引込線でのバック運転は何ら問題なくこなしました。 |
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最後にご紹介するのは1915年製の電動貨車A9965号が機関車代わりになって牽く客車列車です。電動貨車・客車・オープンタイプの客車というデコボコ編成の塗色はやや黄色味がかっていて他の電車と違います。大きなビューゲルをポールのように回して方向転換するのはなかなかの迫力でした。 |
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電動貨車の車内は物置のようですがキレイに保たれています。真ん中に挟まれる客車8768号は1906年製という古豪で色ガラスと籐の椅子、天井には花の形をしたガラスの傘がついた室内灯と高級感があります。 |
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最後尾のオープンカー8816号は1910年製です。骨組みだけのような車体はずいぶんと華奢な感じがします。走行中は安全のため扉の代わりに赤い棒を下ろしていました。 |
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この列車は引込線に戻ってくると当然推進運転ということになり、ビューゲルを回したり警備・誘導に走ったり、運転士さんは客車2両を通した後ろからの遠目で進行方向を確認しつつ慎重な運転、と大変です。そろそろと車庫に着いたら乗ってるだけのこちらまでホッとしました。 |
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という具合に3回乗ったらそれだけでも3時間かかることになります。1日で3種にたっぷり乗れ大変楽しい時間を過ごすことができました。そもそも快適に乗れるよう整備されているトラムの路線でこのように立派な動態保存もされている懐の深さに脱帽です。 |
(2013年訪問) |
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