Biobio川を下る釣り掛け電車(コンセプシオンの近郊電車前編)


 チリ南部、Biobio川という大きな川の河口付近にある主要都市コンセプシオン(Concepcion)周辺には近郊電車が走っています。路線は通して乗ると2時間半かかる大物のMercado〜Concepcion〜Laja間と20分程度の枝線Concepcion〜Lomos Coloradasの2つ。オレンジ色の鮮やかなこの近郊電車の様子を前後編に分けて紹介します。


★Laja駅

 この近郊電車にはLajaという町から乗ることにしました。定期旅客列車が飛び地状態になっているTemuco〜Victoria間に乗った後バスでLos Angelesという町に出て宿泊し、翌日さらにバスに乗ってLajaの町に出るという順序での移動です。チリ南部は鉄道が飛び地状態でブツ切れになっているのですがこのようにバスを使って乗り継げるので助かりました。

 というわけで着いたLajaはそう大きくないけれどそれなりに賑わっているという感じの町。その町中にほど近いヤードがLaja駅です。構内に入ると機関車が走り回っていてなかなか楽しい雰囲気です。

 Laja駅は近郊電車の最南端で川の上流側にあたりMercado行きの列車が1日4本出ています。屋根もないあっさりしたホームに行くとなかなか立派な4連の電車が待っていてくれました。AESという3扉の近郊型電車でアルゼンチン製ながらなんだか小田急線に似ている気がします。カワイイ事業用車両も並びなんとものどかな雰囲気。

 発車前に事務室に挨拶というかお邪魔しに行ったら何やらステキなものが見えます。ここでもスタフという呼び方をしていました。キャリアには紐で縛って使っています。


 車内の様子。運転台は右側ですが左ノッチの右ブレーキという配置は日本の電車と同じでなじみやすいものです。

 客室はボックスシートとロングシートが混ざる近郊型で親しみが持てる感じ。座席はビニールレザーとモケット張りが混在していました。

 1日4往復と本数は少ないながら空きボックスはなくなる程度にさらっと席が埋まって11:40に発車、切符を売る車掌さんのほか鈍行ながらお菓子や飲み物の車内販売が回って来ます。ちなみにLaja駅では切符を販売していないので車内で車掌さんから購入したところ電算化されていてレシート状のものでした。また回数券に日付を入れてもらう乗客も見かけました。


 このAESは1976年製とそれほど古くない車両ながら釣り掛けでした。路線はずっとBiobio川の右岸を走ります。窓を開ければ幅の広い川が広がる美しい車窓、外の空気、釣り掛け音というたまらない3拍子が揃う上、時々「輪っか」のやりとりも加わりいよいよ気分がよくなります。

 さてLajaから単線を1時間半ほどのんびり下ってHualquiまで来るとローカルムードから都市近郊電車のムードに一変します。Hualquiから終点のMercadoまでは区間運転の列車が加わって複線(Mercado側の末端のみ単線)になり、駅舎には自動改札が完備されています。この区間列車は「Biotren」という名前で呼ばれ、同じ線路を走り運賃も共通ながら上から紹介してきたLajaまで足を延ばす電車は「Corto Laja」という名前で区別されています。Biotrenには440形というスペインの中古電車が運用につき、Corto LajaにはAESと日本製(日立)のAELという電車が共通運用されていました。(440形とAELは後編で紹介します。)

 複線区間を30分足らず走ると路線の中心、コンセプシオン駅に到着します。基本的にコンセプシオンに向かって両側から乗客が集まるという流動なので、コンセプシオン駅では溜まってきた乗客がどっと入れ替わります。

 コンセプシオン駅を出ると今度は隣接する港町タルカウアノ(Talcahuano)を目指し、途中いくつかの引込線やダイヤモンドクロスを見ながら進みます。


 コンセプシオン駅から20分少々、末端一駅だけの単線を進んだらタルカウアノの町にある終点Mercado駅に14:10の到着です。楽しい乗り鉄をさせてくれた「大目玉」も堂々たるAESに改めて感謝。

 Mercado駅は単線にホームがくっついただけのシンプルな駅で、「市場駅」という名前のとおり市場のすぐ向かいにあります。港町の市場らしく海鮮料理を出す食堂がいくつも並んでいたのでここで遅い昼食をとり乗り鉄を続けました。食事の後に乗った他の車両については後編で紹介します。


景色は乗った後に(遠距離館)チリもくじ>このページ

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