ウルグアイのナマズレールバス(前編)


 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスからラプラタ川を挟んだお向かいにあるウルグアイの首都モンテビデオMontevideoでかなりの年代物レールバスに乗れるというウワサを耳にしたため行ってみることにしました。


★モンテビデオ旧駅

 さて訪問の時点でウルグアイを走る定期旅客列車はモンテビデオから郊外に向かう3つの系統だけでした。3系統とも始発駅はモンテビデオ新駅で、そのうち2つは客車列車、1つはレールバスという内訳です。客車列車にも興味が全くないわけではありませんが古い電車・気動車が好みの私としてはまずレールバスに乗るべく午後のモンテビデオ新駅に向かいました。

 モンテビデオの中心部から新駅を目指し北に10〜15分ほど歩くと街が閑散としてきてまずモンテビデオ旧駅舎に着きます。立派な建物ですが閉鎖され使われておらず荒れていてちょっと残念。新駅はこの旧駅からやや奥まったところあります。


★モンテビデオ新駅

 旧駅舎正面向かって右側に人通りの少ないバス通りの並木道が続いています。ここを歩くこと5、6分で新駅舎への入り口になるレンガの建物(写真左下)に到着。この建物を抜けると右画像の看板・客車・新駅舎が見えてきます。

 看板を見ると「Terminal de Trenes de Pasajeros(旅客鉄道駅)」とあります。駅から道路を踏切で挟んで隣接する港湾側の貨物駅に向かう側線が続いていてちょうど機関車の入替中でした。

 ピカピカの新駅舎を見るとキレイで本当に古い車両が来るのか不安になってしまいます。やや殺風景なところで周囲に店などは見当たりません。また駅舎に入っても切符売り場があるだけで売店はありませんでした。街の中心から結構歩いたので喉が渇き飲み物を買ってこなかったことを後悔しましたが、幸い構内に飲み物やお菓子の売り子さんが何人かいるので助かりました。

 さてここから乗ろうというレールバスはVictor Sudriers駅行きで、ダイヤは朝夕のみ1日3往復(休日は運休)。基本的に郊外からモンテビデオに朝出て夕方帰るというダイヤ構成なのでモンテビデオ駅側から往復の遊び乗りはしにくい感じです。ただ幸いなことに夕方の1本のみトンボ返りできるのでそれを狙ってみました。

 なお今回は使いませんでしたがモンテビデオを出てVictor Sudriers駅近くの国道沿いを通るバス路線があるようです。これを併用すると時間の融通がきき往復で違うものに乗れる楽しさも加わるので行かれる方は調べてみる価値があると思います。


★ナマズ登場

 冷たい飲み物を飲んでホッとしたところで発車時刻が近づきます。窓口で切符を買いホームで待っていると古いレールバスがお尻を向けて頭端式ホームにゆっくり入ってきました。ここでは片運転台のレールバスが単行で行き来するという日本では見られない運行形態をとっています。

 正面に回って貫禄のあるナマズ顔を拝見。1930年代のブリル社製60形(現場での愛称はそのまま「ブリル」でした。)といいますからアメリカの影響が強い時代にできた名鉄や撫順のナマズのお師匠さん筋にあたると言えそう。そんな車両が「日常的に」活躍しているのですから大したものです。


 車内に入るとさすがにだいぶ手が加えられているようで、椅子や窓は比較的新しいものが取り付けられていました。塗装されているので画像ではわかりにくいのですが木材が多用されています。

 ここで一つ残念な点は窓に金網が取り付けられていて外がきわめて見にくいということ。列車が来ると石を投げるというイタズラが横行しているのだそう。鉄道に対する投石問題はウルグアイのみならずですが全く困ったものです。その上線路端に生えた草木の枝が延び走行する車両をガシガシ擦るため枝の先が金網で刈られたクズが車内で大量に舞っていました。となれば窓ガラスと乗客を保護する意味合いから金網もやむを得ないわけですが外が見にくく囚人になったような気分になってしまいどうも煮え切らない感じ。実際この後で子供が投石する瞬間を見ましたが、小学校にも上がらないような子供たちがくったくのない笑顔で楽しそうにせーの、という感じで窓に投げてくるありさまでした。罪までいかないにしろいたずらの意識があればまだしも楽しいお遊び感覚ではかないませんね。


 金網の客室で暑い中発車を待っているのもつらいので運転室を見物しに行きます。ブレーキハンドルの上に南米名物のマテ茶が置かれているのがウルグアイらしい点で、台湾や中国の鉄道の運転室にお茶が用意されていたことを思い出します。シフトレバーとクラッチ操作が必要な点は南部縦貫を思い出しますがそれすら新しく感じてしまう車体のレトロさにクラクラ。対岸のブエノスアイレス地下鉄といいなんたる物持ちのよさ!床を見ればアクセルのペダルが足型なのはシャレなのかなんとも微笑ましい雰囲気です。さらにキャリアの輪っかも見え気分は高揚するばかり。

 そうこうしているうちに発車時間がきました。いったいどんな路線なのかな?(つづきは■後編をご覧下さい。)


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