カナダのステンレス気動車RDC(前編)


 ステンレスカーで有名なアメリカのバッド社が1940年代に開発したRDC(Budd Rail Diesel Car)はアメリカのみならず多くの国で活躍した気動車です。このRDCがカナダ、オンタリオ州内のサドバリー(Sudbury)〜ホワイトリバー(White River)で運用についているので乗りに行くことにしました。

 カナダの旅客鉄道は上下分離の結果このRDCが走る区間を含め多くがVia Railによって運行されています。サドバリー〜ホワイトリバーはカナディアンパシフィック鉄道(Canadian Pacific Railway)の一部で、ここはかつて大陸横断列車「カナディアン号」が走っていた区間でした。しかしカナディアン号は北部を並行するカナディアンナショナル鉄道(Canadian National Railway)経由となり、現在サドバリー〜ホワイトリバーの定期旅客列車はこのRDCによる区間列車のみです。


 というわけでまずグレイハウンドバスでサドバリーに向かいます。グレイハウンドのシンボルマークを見るとどうしても小田急バスの犬を思い出すので並べてみたところグレイハウンドの方がほっそりしているなあと改めて感心。

 のっけから話がズレたので元に戻します。RDCが発着するサドバリー駅は街の中心部にある一方、グレイハウンドバスのターミナル(犬比較画像の右)は中心部からやや離れたいわゆるロードサイトという感じのところにあるので市内バスに乗って中心部にある市内バスターミナル(犬比較画像の下)に出ました。サドバリー駅と市内バスターミナルは徒歩でもそう遠くない距離で周囲にはショッピングモールやホテルがありクルマで来ていないヨソ者には助かります。(なお現行の「カナディアン号」もサドバリーを通りますが経由するSudbury Junction駅はサドバリー駅の北東約8kmくらいのところにある別の駅なのでRDCに同じ駅で直接乗り換えることはできません。)

 グレイハウンドで着いた翌朝サドバリー駅(右の画像)へ。この駅から出る列車は火・木・土曜の週3便のみ、いずれも朝9時発のホワイトリバー行きで、夕方484km離れたホワイトリバーに着き翌朝ホワイトリバーを出てサドバリーに夕方戻ってくるというダイヤです。


 ホームに出て待っているとお目当てのRDCがやって来ました。ややカタいスタイルとステンレスの質感に機能美を感じます。

 さてこの車両を見ると思い出すのが2014年の台東線電化で引退した台湾の気動車DR2700(製造初年1966年・右下左側の画像)です。DR2700は東急車輛で作られた日本製ながらバッド社ライセンスによるステンレスカー(エンジンはカミンズ)なのでアメリカっぽくRDCの後輩という感じがします。またRDCの角ばった顔を見ていると同じく東急車輛製でバッド社ライセンスステンレスカーの東急7000系(右下右の画像は7000系の更新車7700系)を思い出してしまいました。ともあれ引退したDR2700よりも古いRDCが頑張っているというのは頼もしいものがあります。


 では車内へ。ホームは舗装こそしてあっても高さがなく乗降口には踏み台が置かれます。この列車は客室・荷物室の合造車と荷物専用車が1両ずつの2両編成で、両車とも元々両運転台だったものを片運転台に改造したものです。客室はかなりの更新を経ているようで大きめの荷棚の下に固定リクライニングシートが並び、各席ごとにコンセントが設けられ古さは感じません。車両の中央付近にはウォーターサーバーが置かれ自由に使えるほかペットボトルの無料配布もあり快適に過ごせます。たださすがに供食設備まではなく途中駅で購入することもできないので昼食や間食は乗車前に準備しておかなくてはなりません。

 適当な席について発車を待っていたところ車掌さんが検札しつつ乗客のいる席の上部に行先を書いた札を律儀に差し込んでいきました。検札に続いて非常時の避難経路について説明があり各席に避難経路図が備えつけられているのでちょっと飛行機のようです。


 大きなスペースの荷物車には留め具や犬など動物用のケージが備えつけられています。かなり更新されているらしき運転台は乗降用扉のデッキ部分にありコンパクトにまとめられていますがその分やや手狭に感じました。

 見物しているうちに9時になり乗客はまばらでサドバリーを出発。街らしい車窓が見えるのはわずかな間だけであっという間に人家がなくなり湖水と森林が続く単線を走るようになります。この列車の駅は事前にリクエストがないと停まらないものが大半なので乗客が少ないと走りっぱなしになります。


 約50分走って最初に停まったCartierはリクエストが無くても停まる駅です。広い構内を持つ一方周囲に人家は少なくひっそりした駅ですがたくさんの荷物を積んだ乗客が乗り込んできました。


 Cartier付近まではサドバリーからの並行道路が見え隠れするのですが、その後は並行道路がなくなり道路を見ることも少なくなります。それでもぽつりぽつりとコテージが現れまれに列車を停めて降りる乗客も。中には手ぶらで犬だけ連れて降りる人がいるのでびっくりしました。沿線は風光明媚でバカンスシーズンには乗客が増え混みあうそうですが、その時期が終わったあとの訪問なので終始閑散としたままです。一方狩猟のシーズンには入っていたため銃を持ちバギーで線路端に乗りつけ列車を待つハンターを見ました。

 サドバリーからホワイトリバーまでは8時間以上かかるためまだかなり先が残っています。(後編につづく)


景色は乗った後に(遠距離館)カナダもくじ>このページ

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