カナダのステンレス気動車RDC(後編)


 前編のつづきです。Cartierを出て3時間を過ぎるとこの沿線では比較的大きい集落Chapleauが近づいてきます。ここでは手前で給油のため一旦停車し、給油を終えたのちホームに入ってから客扱いが行なわれました。発車までしばらく時間があったので降りてみたところこちらのRDCと交換する隣の貨物列車が壁のように立ちふさがっていて前後の端が見えないほどの長さです。これでは駅の反対側に出ることができません。週3往復のみと便数が少ないため旅客列車同士の交換はないダイヤですが貨物列車は盛んに運行されているのでこのような短編成RDCと長編成貨物のアンバランスな交換は何度も行なわれていました。

 降りたホームは駅本屋側で、駅前に出ると蒸気機関車やカブースが露天に置かれているのが目立ちます。人家はそこそこあったものの店は見当たらず買い物はできそうにありませんでした。


 下車してちょっと気分が変わったところでChapleauを出発するとあと半分という感じです。前方には引き続き湖水と森林が広がります。見たところ速度は時速60マイル超つまり100km程度は出していたはずなのですが広い景色だとあまりスピード感がありません。


 Cartierから約1時間半で湖水のほとりにあるMissanabieに到着です。特にホームはなくあっけらかんとした駅ですが、広い空の下でステンレス気動車を見ているとなんとなく清々しくいい気分になりました。


 Missanabieを出て40分ほどでアガワ渓谷の紅葉見物列車が有名なアルゴマ・セントラル鉄道と平面交差しFranzに到着します。アルゴマ・セントラル鉄道側にも駅があり定期旅客列車が週3便走っているので一応接続駅ということになるのですが、根元が水没し朽ちつつある「ハエタタキ」など見ているとここで降りて乗り換えるのはちょっとなあ、と思ってしまいました。

 このあと1時間15分のラストスパートを経ると終着駅のホワイトリバーです。降りた乗客は私を含めわずか数人という少なさで大変ゼイタクな気分になったりもしました。こと長距離・長時間の列車となると客車になりがちなだけにあまり人家もないようなところで古い気動車に8時間以上乗り続けるというのはなかなか新鮮で実にありがたい列車です。


 旅客列車はここまででも貨物列車はさらに西に向かうため交換風景が見られます。RDCを降りたときは静かな駅の様子がたった2両の気動車に似合う気がしていたのですが、同じ場所でダブルスタックすなわち大きいコンテナを2段積みにした貨車が3桁の両数を連ねて交換するスケールの大きいシーンが展開されるので驚いてしまいました。日本の貨物列車とは文字通り桁違いというわけです。


 ホワイトリバーは小さい町ながらスーパーマーケットやホームセンター、モーテルがあり買い物や宿泊ができます。ここは「クマのプーさん」のモデルになった実在のクマが狩られた場所、つまりプーさんの故郷なのだそうで町中看板や大きなプーさん像などプーさんだらけです。駅前にのびる通りの一角にある資料館(White River Heritage Museum:左の画像)にはプーさんに関する展示のほか鉄道に関する展示品もあり楽しめました。また同じ通りの先にある観光案内所は昔のホワイトリバー駅を再現したものだそうで腕木信号機が立ち小さなモーターカーとカブースも置かれています。

 そんな具合で列車で着いたあとも鉄道関係のものを見物と鉄道が続きましたが、さすがにまた8時間以上同じ列車に乗ってサドバリーにとんぼ返りするのもちょっとつまらないのでホワイトリバーからはグレイハウンドバスに乗って南のスーセントマリーに向かいました。サドバリーへの足にも使ったので頭と尻尾の両方でグレイハウンドのお世話になったというわけです。


(2014年訪問)


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