乗合トラック「カミオン」


 キューバではカミオン(Camion)と呼ばれる荷台を客室にした乗合トラックが盛んに運行されています。時刻表がなくある程度乗客が集まったところで発車するので時間は読みにくいのですが主要都市間ではそれなりの頻度になるようで行き当たりばったりでもあまり待たずに移動でき重宝しました。

 カミオンの客室は長距離の路線はそれなりの座席があって立席はなし、中〜短距離だとベンチ程度で立席もあってぎゅう詰め、と言う具合に様々です。この画像のカミオンは中〜短距離の路線によくある客室タイプで一見テーブルのように見える内側の高い板も腰掛けに使われます。トラックの荷台の揺れっぷりで硬いベンチとなるとお尻が痛くなるので荷物に余裕があるなら座布団になるものを持参すると多少なり楽に乗れるかもしれません。側面・後部には窓ガラスが入っている場合もありますがこのように吹きさらしで幌という場合隙間から雨が入って来てしまうこともありました。


 長距離の路線の車両はたいていは窓ガラスが入り座席らしい座席で座席カバーや網棚がある場合もありだいぶバスに近い雰囲気になります。ただ揺れっぷりは中〜短距離の車両と同様です。


 長距離のカミオンは長距離のバス同様に1〜2時間毎に休憩時間が挟まりカフェテリアやトイレに行くことができます。また起点での発車前や途中停車の際は飲み物やお菓子、軽食などを売りに来ることがあるのでそれを利用するのもちょっと楽しいものです。カミオンの構造上高い位置になってしまう窓からも手を伸ばして買うということが行なわれていました。飲み物の壜は再利用されるので飲み終わったら返却します。


 カミオンの発着地はターミナル内あるいはその周りだったりただの道路脇など様々です。走ってきたところを拾う場合は道端でただ手を挙げるという方法のほかお札をドライバーに見えるよう広げて持って待つというちょっとギョッとするような方法も行なわれていました。

 立席が前提の中〜短距離の路線は詰め込みにはなってもまず乗れるのですが立席がない長距離の車両だとせっかく目的地に行くカミオンが見つかっても満員で乗れないということが起こり得ます。客室は満席でも助手席に乗れるということもありました。


 左の画像のようにフロントガラスに方向板を掲示していることはあまり多くないのでターミナルなどカミオンが集まる場所では客寄せのため行先を叫ぶ声が飛び交います。

 右の画像はオマケというか街から遠いところで故障したカミオンに遭遇し手助けのため停車したときのものです。助手席でぼーっと見ていてキューバの広い空の下長距離を走るカミオンは大変だなあと思いました。


 という具合のカミオンは乗ると結構くたびれるのですが、キューバの鉄道やバス、飛行機の便数はあまり多くないので頼もしい存在です。


(2018年訪問)


景色は乗った後に(表紙)キューバもくじ>このページ

inserted by FC2 system