客車になったステンレス気動車RDC


 キューバのCamaguey州にFloridaという街がありキューバのフロリダというのもなんとなく面白い気がして寄ってみました。駅に行き窓口を見ると格子に「ESTACION FLORIDA」というデザインが施されなかなか凝っています。ここで今日列車があるか聞くとMoron行きがあるというので乗ってみることにしました。


 夜の20時前、暗くなる頃にCamagueyからやって来たMoron行きはディーゼル機関車が牽く客車列車で、機関車の次に荷物車として使われていた有蓋車を挟んで後ろに連なる客車のうち1両はコルゲーションが目立つステンレスカーです。これはアメリカ・バッド社製の気動車RDCを客車化したもので暑いキューバらしくいくつかの固定窓が横引きの可動窓に改造されていました。乗り込むと室内灯は点けられず真っ暗です。うろうろとRDCと他の客車を乗りくらべてみたところ乗り心地はRDCの方がずっとよく快適でした。


 フロリダを出るとハバナへと続く幹線筋を進むのですが暗い中淡々と走っているとうとうとしがちのうえ車内放送はなく駅に着いても駅名標が見当たらずでいったいどの辺りを走っているのかよくわからなくなります。時に懐中電灯を持った車掌さんがやって来て駅名を連呼することもあり「Ciego!Ciego!」の声でハッと起きたらCiego de Avila(右の画像)でした。ここからMoronに向かう支線に入ります。


 23時半を回って終着のMoronに着きました。立派な駅を出ると街の中心はすぐ近くです。泊まるところを探して人通りが少ない深夜の街を適当に歩き回ると心細くなりますがそのうちに空室のあるカサ・パルティクラル(民宿)が見つかってホッとしました。


 乗ってはみたものの暗くよく見えなかったので翌朝改めて見物することにします。明るくなってから見る板張りのロマンスシートが整然と並ぶ様子はちょっと不思議なものがありました。


 他の客車は貨車の改造とおぼしきものでなるほど乗り心地が違うわけです。乗ったあと夜が明けて客車列車を見たら元が気動車や貨車ばかりだったというわけでなんだか化かされたような気分になりました。


(2018年訪問)


景色は乗った後に(表紙)キューバもくじ>このページ

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