忠清北道→慶尚北道道境越えバス乗り継ぎ

(前編・忠清北道丹陽郡側)


 中央線で山の方に行って「乗りバス」でもしようと清涼里駅に向かいました。以前はソウルのターミナル駅というとまずはソウル駅、次に清涼里駅という感じがしたものですが、高速鉄道の発達とともに湖南線・長項線のターミナルがソウル駅から竜山駅に移り、京春線も優等のITX青春が竜山駅まで足をのばすようになって今は三番手という感じです。ともあれ駅スタンプや秋夕の指定席申込書記入スペースが設置されていたり入換機が行き来しているターミナルらしい様子を見るとうれしくなります。


 乗ろうという列車のホームに下りると隣に見慣れない機関車が停まっていました。これは旌善線のアウラジ行く観光列車「A-train」で、展望が効く窓になっていたりフリースペースがあったりと工夫が感じられる客車を連ねています。


 清涼里で乗った列車はA-trainの後に発車するごく普通のムグンファ号ですが、行先は釜山の釜田なので2004年に廃止されたトンイル号を思い出しなんだか懐かしくなってしまいました。と言ってもこまめに停まりながら釜田まで11時間以上かかった転換クロスのトンイル号に比べこのムグンファ号は8時間を切りリクライニングシートでカフェ車両も連結され、と趣は全く異なるのですけれども。

 そんなわけで清涼里を出発した中央線の目玉というとまさしく目玉のように丸いループ線が2ヶ所あることをまず挙げたくなります。まず通るのが江原道原州市にある金交〜雉岳のループで進行方向右側に陣取っているとトンネルを抜け一度通ったレールが下に見えました。もうひとつのループは忠清北道丹陽郡の丹城〜竹嶺にありますがこの区間は列車では通らず外側から見物することとし、ループ手前の停車駅丹陽(右端の画像)で下車します。


 丹陽駅の待合室には最近めったに見なくなった韓国鉄道公社のキャラクターCHIPOCHIPO君がいてびっくりしました。丹陽駅は丹陽の街中からかなり離れたところにあり駅を出ても店などはありませんが、駅前広場には観光案内所や3016号ディーゼル機関車、腕木信号が見え客待ちのタクシーも数台停まり寂れた感じはしません。最寄のバス停は駅前広場の先を通る国道5号にありここでループ線のある大崗面方面に行くバスをつかまえました。


 10分少々乗ってたぶんこの辺、とあたりをつけた堂洞停留所で降りると山の中腹のループ線をちょうど列車が登って行くのが見えとりあえず満足です。


 ここでの目的は実はループ線よりお酒だったりします。堂洞からひとバス停分歩いて戻った大崗停留所は市外バスも停まる主要停留所で、付近は大崗面の中心にあたり郵便局や農協、商店が並ぶそこそこの集落です。近くには中央高速道路の丹陽ICがあり市外バスは高速道路に出入りする直前・直後にここを経由することになります。大崗醸造場は集落の中にありバス通りに面しているのですが、醸造場らしくない外見(右上の画像)なのでバスの車窓から最初見たときは気づきませんでした。

 結構手広く色々な酒を作っている醸造場なので何を買うかちょっと迷いつつ看板商品という「小白山五穀進上酒」(右下の画像の右から2本目)にします。五穀というだけあり一般的なマッコルリよりやや複雑な味で面白く感じました。


 ループ線と酒を済ませたら乗りバスです。堂洞で見たループ線は竹嶺という峠をくぐるトンネルの手前で高さを稼ぐためのもので、並走する道路には地道に峠道を上り下りして竹嶺を越える国道5号(と36号の重複区間)と、トンネルでくぐる中央高速道路があります。となるとバスで国道5号の峠越えはできないかとりあえず考えることになるのはもちろんです。

 竹嶺は忠清北道丹陽郡と慶尚北道栄州市の境界で、幸いなことに両側から登るバスの終点になっているので長く歩いたりすることもなく乗り継げます。ただ便数は丹陽側1日4往復・栄州側2往復のみと少なく両者の接続もよくはありません。それでも割に乗りやすい時間の便があったので大崗で丹陽側のバス(左上の画像)をつかまえるとあっという間にループで高さを稼いだ中央線を見下ろすようになります。この辺りはリンゴ畑が多く直販場も見えますが、やがて畑はなくなって森の中をにょろにょろと登っているうちに竹嶺に着きました。大崗からここまで15分ほどです。峠の直前には特産物販売店や軽食がとれる休憩所があり駐車場がひろがっているので着いて何にもなくて困るというようなところではありません。この一角でUターンしたところが終点ということになりますが停留所の標柱など乗り場の目印になるものは見当たりませんでした。栄州市側のバスの目印もないのでやや不安になりますが売店の店員さんに聞いたところここで折り返すとのことです。


 道境の峠まで来たのでここまでを前編とし一旦区切ります。続きは後編をご覧下さい。


景色は乗った後に(表紙)韓国もくじ>このページ

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