野外民家園の動態保存気動車


  ブダペスト北部の郊外にあるセンテンドレ(Szentendre)という町にシカンゼン(Skanzen)という野外民家園があります。ハンガリーの古民家が広い園内に展示されているという一般向けの観光施設ですが、鉄道マニアにとってうれしいのはBCmotという古い気動車が動態保存され園内の足として活躍しているという点。隣国のルーマニアで古い気動車を楽しんだあとさらに古気動車のハシゴがしたくなったのでここに足を伸ばすことにしました。


★センテンドレ駅

 野外民家園の玄関口になるセンテンドレ駅はブダペストの街中にあるBatthyany terという地下駅からHevという郊外電車で約40分北に揺られた終点です。この郊外電車は釣り掛けで止まるときも電制の釣り掛け音が聞けるというなかなかうれしいものでした。

 センテンドレ駅には交通博物館があり展示車両が見えますが時間がないのでパス、雨の中野外民家園を通るという連接バスに乗ります。

 バスはセンテンドレの町中を抜け10分少々で野外民家園に着きます。民家園の入口に立つ建物は昔の駅を模したものなのだそうでなかなか立派なもの。ここの窓口で入場券と別料金になっている気動車の運賃を払います。


 駅を模しているくらいで建物の反対側はホームになっているため早速お目当ての気動車BCmotを見ることができました。3軸というのが変わっています。2両在籍し多客時は連結運転もするそうですがこの日は単行で行ったり来たりしていました。

 このBCmotは1927年から製造されハンガリーのあちこちで活躍していたとのことで、入口の駅から古い気動車に乗って古民家を見に行くという演出となれば言わばタイムマシンの役割もあるわけです。明治村のN電や蒸機列車を思い出すところですが、こうした手のかかる古い車両を随時運行している施設というのは本当にありがたいものです。


 では乗り込みましょう。小さな車両らしく扉は乗務員と乗客が兼用するもので、扉脇にコンパクトな運転台があります。

 車内は2等室と3等室に分かれアコモにはかなりの差があります。ふっくらとしたボックスシートの2等室に対し3等室はロング・クロスシートが混在する木のベンチ。ただこの3等室は小さな車両の割に広々としているように感じられました。いずれにせよこれだけキレイだとわずかな時間(時刻表上は片道20分。ただし私が乗ったときは増便するためか停車時間の調整を行わず15分程度で走破していました。)で降りるのが惜しくなってしまいます。

 右は2・3等を仕切る壁の両側にくっついた網棚。こんなところに細かく差がつけられていることがわかります。


★スイッチバック

 さてこの園内鉄道の面白い点は園内に高低差があるため2.2kmの短い路線にスイッチバックが2箇所もあることです。スイッチバックのたびに運転士さんは前後移動し車掌さんは高いステップから飛び降りてポイントを切り替えるため実に忙しそうでした。こうして細かく停まりつつ時速15キロ程度しか出さないのですがそれでもなかなか味のある揺れが楽しめたので満足です。


 左が終点です。通常の開園日は1日8往復というダイヤですが団体客が来たときなど多客時には随時増便しているそう。このときは遠足の小学生に対応するため運転士さんと車掌さんは大急ぎで折り返しとスイッチバックを繰り返して入口の駅に戻りました。入口駅では乗客を載せると大あわてで煙を残し走り去っていきます。

 発車を見送った私のほうも時間に余裕がなかったので園内の展示は一つも見ずに大あわてでブダペストに戻りました。結局乗るためだけに入園料払ったわけでちょっともったいない気も。


★おまけ

 左は出口にあったお土産売り場にあったもの。ヨーロッパで駅員さんが出発合図に使う札です。こちらの子供が電車ごっこ(客車が多いけど)するには重要なアイテムなのでしょう。

 右は帰路センテンドレ駅まで乗った民家園で運行している有料送迎バス。往路に乗った路線バスより運賃が高めに設定されていました。


景色は乗った後に(遠距離館)ハンガリーもくじ>このページ

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