ペンドリーノETR450


 山がちで曲線の多いイタリアでは1980年代後半にペンドリーノという愛称の車体傾斜式電車が登場し、その後世代を重ね各種の車両が活躍しています。私は古い車両に好みのものが多く80年代後半以降となると興味をそそられるものが少ないのですが、ペンドリーノのうち最初の世代にあたるETR450という車両は写真でスタイルの愛らしさが気になっていたため乗りに行くことにしました。


 向かったのはイタリア南部のタラント(Taranto)駅で、ここ始発のローマ行きIC(InterCity)に入っているETR450をつかまえる手はずです。

 さあ乗るぞ、と駅に入ると駅本屋側ホームになんだかいかめしい古風な電気機関車が停まっていてびっくり。イタリア直流3000V用電機のはしりE626という動態保存車両のお蔵出しでした。

 いきなり話が逸れましたが、本題のETR450によるローマ行きICは地下通路を抜けた先のホームで待ってます。ETR450が製造されたのは1987年から92年にかけて、チョッパ制御・アルミ車体を採用、というスペックがなんだかウソに見えるなんだか懐かしいようなカワイイ顔です。高速鉄道よりTEEの時代が似合うかも。E626の四角くてごっつい姿と好対照なので並べてみました。


 では乗り込みます。大き目の座席が3列の集団見合式に配置されていてなかなか豪気な感じ。車両が傾く分車両限界に余裕を見て車体が小さいため座席が4列並べられなかったからこうなったとのことで、かつては全車1等だったそうです。現在は全車3列のまま一部が2等車になっていておトク感があります。


 運転室。前面窓の間柱が太いので展望は今ひとつという感じ。直流3000V用の菱形パンタグラフはやや華奢な印象のシルエットです。


 さて走り出すといかにもチョッパ制御らしい「プーン」という音がわずかに聞こえてくるものの概して静かで、あまりスピードが出ていなかったためこの列車では車体傾斜させているのかどうかイマイチわかりません。ともあれ一風変わったタマゴ形断面の車内でゆったりした座席に腰掛けてのんびり乗るのも悪くないものでした。

 タラントからずっと単線を走るので時々交換待ちがあります。左の画像はアップロ・ルカーネ鉄道と接続するポテンツァ中央駅で交換待ちのときのもの。内陸部のこの辺りは曲線と勾配の多い険しい区間ですから一休みという風情です。

 このあとBattipagliaでReggio Calabria方面から海沿いを走る複線に入り、ナポリの東にあるサレルノ(Salerno・右の画像)で降りたら私の乗り鉄は終了。外に出て改めて眺めると線路条件がよくなりややほっとした表情に見えたりも。間もなくナポリ、さらにローマまでもうひとがんばりというETR450を見送って駅を出ました。

 ETR450は近年活躍の場を上級種別のES(EuroStar)から格下のICに移しつつありやや影が薄くなってきている感じです。イタリアの鉄道を高速化する礎になった存在、なんて言うと硬くなりますが、どこかホッとさせられる車内外の雰囲気がいつまでも味わえることを祈らずにはいられません。(2011年訪問)


景色は乗った後に(遠距離館)イタリアもくじ>このページ

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