チルクムエトナ鉄道(前編)Catania Borgo→Randazzo


 シチリア島というと気になっていたのがチルクムエトナ鉄道(Ferrovia Circumetnea/FCE/エトナ山周遊鉄道)です。950mm軌間の非電化ナローで、シチリア名所のひとつエトナ山を110kmの道のりでぐるりと回る路線図を見るといかにもそそられます。

 というわけでまずはチルクムエトナ鉄道の公式パンフレットから拝借した路線図と高度グラフをご覧下さい。エトナ山を登っていく「登山鉄道」というわけではなくあくまで裾野の町を結んでいる鉄道なのですが、海抜35mのCatania Borgoから976mのLifisa Roccacalannaを経て7mのRipostoまで、900m以上上ってまた900m以上下りるというかなりの高低差がある路線であることがわかります。


 前置きはこのくらいにして乗りに行きましょう。この鉄道の南端カターニア(Catania)の街のターミナルはBorgoという場所で、街の中心部から北にずれたところにありますが地下鉄が通じているのでそう不便ではありません。

 左の画像がその地下鉄で場所はFSのターミナルカターニア中央駅。地下鉄と言っても全長3.8km・6駅の小規模なもので、南端のPorto〜カターニア中央駅〜Galatea間は地上の海沿いを単線で走っています。

 この地下鉄の北端がBorgoで、降りて地上に上がるとすぐにチルクムエトナ鉄道の駅が目に入りました。そう大きくない駅ですが車庫と工場が併設され蒸機も保存されていたりと楽しい雰囲気です。

 切符売り場で終点のRipostoまで切符を買うと、窓口の職員さんがなかなか立派なパンフレット(このページ冒頭の地図とグラフが入ったもの)を一緒に渡してくれます。エトナ山観光で乗る観光客の多い路線なのでそうしたものも用意しているのでしょう。

 そうこうするうちこれから乗るRandazzo行きの単行が車庫から出てきました。朝通学時間帯が終わった直後の列車なので単行でこと足りるのでしょう。この曲面ガラスの二枚窓が印象的な1970年代製の気動車に、途中のRandazzoまで70km・2時間強おつきあいすることになります。


 では発車。ゲタ電のお客さんっぽい雰囲気の地元客(非電化ですが)とフランス人観光客が数組乗るものの単行で十分という乗り具合でした。下町然とした人ん家の裏みたいなところを走り、徐々に視界がひらけエトナ山が見える、はずでしたが日ごろの行いが悪いのか厚い雲がかかり見えません…。

 すると乗り合わせたお姐さんが「せっかく来たのに残念ねえ。そういえばあの麓の山はエトナ山のオッパイって言われてるのよ。冬は雪でブラジャーしてるけど、今は夏だからトップレスというわけ。エトナ山のトップレス見られたんだからよかったじゃない。」と慰めてくれます。なるほどそれならいいか(?)


 さて乗る前は島で非電化ナローで単行なんてよほど鄙びた沿線なのかと思っていましたが、車窓を見ていると予想よりひらけていたので意表をつかれました。また施設の更新や線形改良が積極的に行われている最中で、地下化された駅(画像はSanta Maria di Licodia Sud)さえあってびっくり。一方で踏切を手動で巻き巻きしている様子も見られいかにも過渡期という感じです。高低差の大きいナローだけあり急曲線が多い路線ですからこうした地道な改良が進むと所要時間が相当違ってくるかも知れません。

 とは言え今は改良中ですから速度は大したことないのですが、それでもどんどん標高が上がっていきます。眺望がよくなって田舎っぽい車窓になったと思ったら新しい駅が工事中だったり、やや落ち着かないものの変化に富んでいて飽きがきません。


 眺望の良い交換駅Passo Zingaroでしばらく停車。やや遅れてやって来た対向列車は90年代製の角ばった気動車でした。


 カターニアのBorgoから1時間40分、海抜833mのBronteに着きます。ここからはまだ腕木が生きていましたが、点灯前の新しい色灯がかなり立っていたので先はあまり長くなさそうです。


 活火山の麓らしく荒々しい溶岩だらけの中を走っていると、いつの間にか高原らしい緑の丘がひろがるようになってこの路線の最高地点である海抜976mのLifisa Roccacalannaを通過します。


 下りになってエンジン音が小さくなり、警手さんが手でワイヤーを吊っただけの踏切を越えてしばらく走ると海抜922mのMaletto駅。駅の裏では牛が草を食み、近くにはキレイな景色をバックに集落が見えます。腕木が生きているのもうれしくなんとなく雰囲気のいい駅でした。


 下り坂をスイスイ降りていくと駅でもないのに急停車。何かと思ったら羊飼いの横断でした。油断なりませんね。


 気を取り直して走り出すとまた急停車。今度は何かと思ったらヤギの群れです。牛・羊・ヤギと牧畜が盛んなのは何よりですが、くれぐれも列車にはご注意願います。


 今度は順調に下って腕木を見つつ標高753mの終着Randazzoに着きました。ここでRiposto行きに乗り換えるので前編はここまでとします。つづきは後編をご覧下さい。

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