ジェノヴァ・カゼッラ鉄道


 ここではジェノヴァから山間部のカゼッラに至るメーターゲージのジェノヴァ・カゼッラ(カセッラ)鉄道(Ferrovia Genova Casella)に乗り鉄したときの様子を紹介します。


 ジェノヴァ側のターミナルPiazza Manin駅は港やFSの駅からはかなり離れたがけっぷちにひっそりと佇む秘密基地のような駅です。近所には有料地下エレベータがあったりさながら街が立体迷路といった風で乗り鉄の前の散歩も楽しい一角でした。


 ホームに入るとすぐに工場や留置線がくっついています。電車は抵抗制御の釣り掛けからインバータかチョッパの釣り掛け(というウワサを聞いていますが私は未確認)新車まで揃い、客車、散水車と色々なものが見られます。どことなく昔の日本の地方私鉄を思い出させる雰囲気は楽しいのですが、それにしても落書きのすさまじいこと…。イタリアの鉄道はどこも落書きだらけでしたが、こんな小さな鉄道にまで容赦ないとはなんという執念深さでしょうか。

 私の乗った列車はぷっくりした電車が機関車がわりになって運転台のない客車2両を牽く3両編成でした。落書きのひどい客車も入ってしまえば非常にキレイです。


 発車してしばらくは斜面にへばりついた住宅の裏を抜けて行きます。反射して響く釣り掛け音がうれしいところ。本数が少なく駅もなく中心地に乗り入れていない鉄道なのでこうした住宅地の足にはなっていません。

 ジェノヴァの裏に向けて走り始めるとそれほど経たないうちに建物がなくなり町が切れ、あっという間に人家が見えない緑の山腹になるので驚かされます。


 急カーブの連続で山を巡り谷をいくつもいくつもメガネ橋で越えながら地味にとろとろと高度を稼いでいく何とも律儀な線形で、制限速度の標識に10とか20という数字がしょっちゅう現れました。時々短いトンネルを抜けつつ延々とこのような風景が続きます。


 終点に近づいた辺りに車庫がありここで一回スイッチバックが入ります。機関車の役割をしている電車が機回しをし、しかもバッファとネジでの解結・連結ですから作業はなかなか複雑で思わず見入ってしまいました。そういえばバッファが左右ではなく中央一つだけというのもちょっと面白い点。小さな電車らしいカワイイ装備です。

 スイッチバックを終え坂を下りだすと線路が舗装され民家も登場していつの間にか田舎の裏道併用軌道になってしまいました。山の中の路線でバスの狭隘区間みたいな雰囲気を味わえるというのはうれしいもので、なんというか箱根登山鉄道と江ノ電がいっしょになったような感じです。併用軌道のあとは電車敷が区分された併用橋が続き、渡るとカゼッラの町中に入ってほどなく終点です。

 ちなみに終点では機回しをせず、折り返しは併用軌道区間に推進運転で突っ込んでいって車庫まで行き、そのままスイッチバックをしてジェノヴァに向かうという手順でした。先頭側になる客車には係員が乗って誘導しますし、大して交通量もない田舎をゆっくりとではありますがなかなか大胆な運転をするものです。

 終点のCasella Paese駅。田舎の小さな駅ですがシンプルな駅舎にはバールもあります。

 ここまで山登り1時間、さらにとんぼ返りの復路で合計2時間、変化に富んだ車窓と運転方法に驚かされるばかりでした。(2009年訪問)


景色は乗った後に(遠距離館)イタリアもくじ>このページ

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