州境越えローカル区間 アップロ・ルカーネ鉄道(後編)


 アップロ・ルカーネ鉄道(Ferrovie Appulo Lucane/FAL)後編ではバジリカータ州の州都ポテンツァから州境を越えプーリア州の州都バーリに向かうローカル区間に乗った時の様子を紹介します。


 はじめの画像は「ポテンツァの街が展開する丘」の中腹にあるPotenza Citta駅です。ご覧の通りの斜面に位置し、駅舎は2階が正面玄関、ホームは1階というちょっと面白い構造でした。狭い構内ながら交換設備もあります。

 この駅はポテンツァの中心に比較的近いので、中心市街を散歩したあとここからバーリ行きに乗りました。近いといっても高低差がかなりありますが。

 朝から晩までだいたい毎時1本程度確保されているポテンツァ近郊区間(Potenza Inferiore Scalo〜Avigliano Citta)にくらべ、州境を越えるバーリ行きは訪問時1日4往復しかありませんでした。乗ったのは始発のPotenza Inferiore Scalo駅17:57発、このPotenza Citta駅は18:04発のバーリ中央駅行き最終列車です。(訪問時Gravina駅〜バーリ中央駅間は代行バス)

 やって来た車両は80年代製の比較的新しい気動車で古い車両好きとしては今ひとつ気分が高揚しなかったのも正直なところですが、すでに(前編で)旧型車に乗れたのでまあ仕方ないとあきらめます。前がAvigliano Citta行き・後がバーリ行きの2両編成で、側面にはそれぞれちゃんとサボが掛けられていました。


 前編で紹介したようにトンネルで街の真下を抜け三線軌条区間を通り分岐駅のAvigliano Lucaniaに到着。ここでAvigliano Cittaから来た列車との交換と共に切り離し作業が行われます。作業を見物していると新しめの車両だけどナローらしい1本バッファーといかつい排障器の組み合わせはなかなか悪くないと思いなおしました。我ながら勝手なものです。


 バーリ方面の路線はAvigliano Lucania駅からPotenza Inferiore Scalo方に分岐しているので、私の乗っている方の車両はスイッチバック状に方向転換しここまでと逆、後ろ側に進んでいくことになります。(切り離されたAvigliano Citta行きは方向転換せずそのまま前進)

 ここからはきつい曲線が続き、フランジをきしませながらごくゆっくりと徐々に丘を上ってまずはSan Nicola駅。少ない乗客からパラパラと降りるので分岐ひと駅目にしてさらに少なくなります。

 San Nicolaの次、Pietragalla駅が近づくと見慣れない丸い標識が見えました。名前は円板信号機でいいのかな?でかい赤丸の停止現示、小さい緑丸の進行現示を角度を変えて切り替える仕組みです。下を見るとまだ新しそうなワイヤーがつながっていました。

 Pietragalla駅に着くと駅員さんが詰めていました。出発後線路脇のワイヤーを目でたどっていると間もなく信号機があり、対向列車方に停止現示が出ているのが見えます。ということはどうやらまだこの信号機生きている模様。


 この路線はおそらく集落に近づけるより勾配を緩くすることを優先させたとみえ、車窓には集落はおろか人家もあまり見えません。ひたすら緑の丘をぬってのんびり走っていきます。そのうちダム湖が見えると無人のAcerenza駅。ダムの下は太い導水管が目立ちました。


 導水管は割とあっけなく視界から消え、1日2本ポテンツァ方面からの折り返し列車が設定されている有人駅のGenzano駅を過ぎると1日4往復の過疎区間です。と言ってもそう雰囲気が変わるわけでもなく延々と続く急曲線の繰り返しをゆっくり走るばかり。


 乗降客がいないと通過する無人駅(左からTacconeとIrsina)を見つつ、バジリカータ州側最後の駅Basentello(画像右から2番目)を通過したら州境(画像右端)です。といってもただ畑があるだけでどこが境だかよくわかりませんでしたけれど。


 州境を抜けるとプーリア州。こちら側は線路状態が多少よいようで廃駅の跡をいくつか見つつスピードを上げます。直線で谷を下り上りするところはちょっと京急の杉田通過みたい。(ローカルな例えですみません。)この辺りからそろそろGravina in Puglia(グラヴィーナ・イン・プーリア)の街が見えてきました。ずっと過疎地を走って来たので街を見るのはずいぶん久しぶりです。


 この街は渓谷にへばりついていて、街から渓谷を挟んだ対岸を走る車窓から遠目に見てもなにやら古そうな建物が多く見え面白そうな感じでした。時間があったら寄ってみるのもよさそうです。渓谷をぐるりと回りこみながら街に近づき、間もなく時刻表上の時刻20:03を数分過ぎてGravina駅に到着しました。降りたのは5人だけです。

 というわけで乗っていたのは2時間ほどですが、のんびりした沿線をゆっくり走るので半日くらい乗り続けた後のような気分で乗り鉄を終えました。

 ここからバーリ中央駅まで本来ならまださらに1時間以上走るはずなのですが、このときはここで打ち切られバスでの代行輸送だったので駅前に出てバスに乗り換えます。乗り換えたのは私を含めたった3人。一応最前列の「マニア席」に陣取ったもののサマータイムとは言え夜8時を過ぎればさすがに暗くなるので「乗りバス」としては消化試合という感じになります。走り出すと代行バスの少ない乗客は途中で次々に降りてしまい、結局9時過ぎに終点のバーリ中央駅裏口で降ろされたのは私1人だけでした。ということは州都間連絡の役割はあまりないのかな。

 ともあれ変化の豊かなポテンツァ近郊区間に乗り応えのある州境越え区間と続けばかなりお腹いっぱいで大いに満足しました。


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