トリノのラック式鉄道


 トリノの街中から北東に向かう路面電車15系統に乗ると終点付近の右手に庭園のようなキレイな駅が見えます。これがラック式登山鉄道サッシ・スペルガ線(Sassi・Superga) の下側にあるサッシ駅。ここでは1935年製の電車が時に客車や貨車をくっつけて上り下りしています。

 駅の側線には電車の他廃車体に果てはバスまでいろいろ雑然と並んでいます。

 見ていると大きなパンタの凸形機関車が貨車を連れてやってきました。ラック式の本線上は第三軌条集電で架線はないのですが、側線には第三軌条=サードレールがなく架線が張ってあってこの機関車を入換に使うという複雑なシステムです。


 電車の車内はキレイにニスが塗られよく整備されています。窓が大きく展望がきくのがうれしい点で、窓の開け方はハンドルを回す凝った方式でした。つり革は(合皮かもしれませんが)文字通り革がだらりと垂らしてあります。

 発車するとラック式だけあり歯車がレールと噛み合う細かな振動が続き、急勾配をゆっくり確実に登って行きます。平日とあって途中にある交換駅は使いませんでしたが、遠足らしき子供達がたくさん乗り込んでいて途中駅で降りていきました。


 上の駅スペルガに到着。電車が客車と貨車を下から押し上げる3両編成で、貨車の荷物は自転車でした。登山電車で上がって下るだけのサイクリングとは実にうまいワザ。


 遠足の子供が降りた後の少ない乗客はスペルガ聖堂観光に散っていくわけですが私はとんぼ返りです。下りはガラガラ。さてこうした登山系の乗り物は下側の展望が開けるのでケーブルカーやロープウェーなら進行方向を問わず下にかぶりつくのがご定法ですが、登山電車となると上りは力行音を聞きながら前進する方も見たいので悩ましいところ。その点この路線はラックレールと歯車の振動と音が激しく上りも下りも同じような音でした。下側にかぶりついて見ているとラックレールと第三軌条が加わったなんとも複雑なポイントが興味をひきます。

 というわけで電車と言うよりは昔の耕運機かなんかみたいな不思議な乗り心地の乗り鉄を終えました。(2009年訪問)


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