ダウガフピルスの路面電車


 ラトビアと言えばリガ車両製作所(RVR)、RVR製の電車気動車に乗ったらRVR製の路面電車にも乗るか、となるのはごく自然な流れ(?)です。ただ首都リガの路面電車はチェコ製ばかりなのでラトビア第二の都市ダウガフピルス(Daugavpils)で乗ることになりました。


 ダウガフピルスの路面電車には3つの系統があります。とりあえず全区間乗ってみたところ終端はどこも見どころがあり甲乙つけがたい感じでした。なので以下その終端を順に見ながら話を進めます。なお一緒にご覧いただければと思い系統図を入れましたが、各終端の名前は近くにあるものから私が便宜上勝手につけたもので実際の停留所名とは異なっているところもある点を予めご了承下さい。実際の停留所名は各項に併記しています。(なお図の「LDZ」は「ラトビア鉄道」です。)


★駅前(停留所名:Stacija)

 ダウガフピルス駅から歩いていくとふいにやや勾配のついた青い芝生のレールが見え電車が上ってきます。これが駅前の折り返しループで、いきなりのどかな風景にびっくりしました。これなら他もいい雰囲気なのではないかという期待がわいてきます。

 車両は左の台形顔は旧ソ連製、というとラトビアも入ってしまうので言い直すと今のロシア製のKTM-5で、右の丸っこいのが上記のラトビア産、RVR製のRVZ-6。どちらも釣り掛けではない静かな走行音で、タトラなどと同じくPCCカーが下敷きにあるようです。


★要塞(停留所名:Cietoksnis)

 駅前から1系統に乗り、3系統に乗り換えて単線区間を走ると終点のCietoksnisに到着します。(なお1系統は複線区間のみを走り、2・3系統単独の区間は単線です。)

 話がそれますがこのKTM-5の側面を見ていてどこかで似たものを見たような気がするのでしばらく考えていたら小田急の向ヶ丘遊園モノレールが頭に浮かびました。色の感じや「波々」、幅広の外付け扉からちょっと似ているような気がしたわけです。既に廃止されてだいぶ経ったものを全然関係がないところで思い出したので何だかヘンな気分になりました。


 電停の近くには星型の大きな要塞跡があります。なので一応観光名所ではあるのですがお堀に水はなく城壁らしいものはだいぶ風化し、中に入ると集合住宅が並んでいて普通に人が住んでいました。ただ整備工事中だったので今後もっと観光地らしくなりそうです。また近くにはダウガヴァ川が流れリトアニア方面に向かう路線の鉄道橋が掛かり目立っています。


 要塞を見物したらまた3系統に乗ります。ここでちょっとKTM-5の車内をご覧下さい。ダウガフピルスの路面電車には車掌さんが乗っていて切符を売り歩くシステムです。空いているとき車掌さんは画像のように後方右の専用座席に腰掛け待機しています。外観同様にあっさりした車内では扉がチェーン駆動なのが面白く感じました。


 1系統と合流すると複線区間ですが、訪問時規模の大きな改良工事のため単線が発生し臨時に信号が置かれていました。仮設された薄いポイントをゆっくりと通過するのもいい味わいです。


★湖(停留所名:Stropu ezers)

 ラトビア鉄道を陸橋で越えると教会が並ぶ様子が見え、やがて2系統が合流します。全系統が揃う辺りはさぞやにぎやかだろうと思っていたら割に落ち着いた街並みで終わってしまい拍子抜けしました。その後また3系統単独の単線区間に入ると交換できる停留所も見られましたがダイヤを見ると交換する時間帯はなさそうでした。末端はひたすら林の中を走ります。


 着いた終点のループは湖畔の集落にあります。湖を見に行くと釣り人がいるもののひっそりしていました。


★車庫(停留所名:Butlerova iela)

 湖から一旦街中に戻り、今度は車庫がある1・2系統両方の終点Butlerova ielaへ。タトラが入っていく車庫内を見ると敷地全体がループ状になっています。


 車庫から2両連結のRVZ-6が出てきたので後ろに乗ってみたら前とは別にもう1人車掌さんが乗っていました。貫通路がないので当然と言えば当然ですが、末端の停留所ということもあり乗客が私1人の1両貸切状態だと車掌さんも1人貸し切っているような錯覚で贅沢な気分になったりも。室内の色合いや丸い車内灯は外観同様に渋くなかなかいい雰囲気の電車だと思います。


★機関庫(停留所名:Maizes-kombinats)

 1・2系統が通る複線区間は専用軌道が多いのですが、左の画像のように道路との境目がはっきりせず割と大雑把な感じです。その後また全系統揃い踏み区間を経て2系統単独区間に入ると単線になり、人家が途切れないまま終端Maizes-kombinatsのループ(右の画像)に到着。


 この終点はすぐ近くに機関庫があるのでディーゼル機関車が入換で出入りしているのを見物することができます。なので2系統は鉄ちゃんスポットへの足という見方もできるかも。

 そんなわけで全ての終端を見終わり、そう大規模ではないものの変化に富んでいてなかなか面白い路線網だと感心しました。車両も4種類あり…とシメようというところでまだ画像が出ていない車両があったのを思い出し、最後にKTM-8の画像を貼っておきます。KTM-5と同じソ連・現ロシア製でより新しく、あっさりした外見である分側面に並ぶ扉とステップが印象的です。

 では改めてシメ。4種類、ラトビア産・ロシア産(2種)・チェコ産とすべて音が静かなメンツではあるものの、一緒に走っているとそれぞれのスタイルの個性がよく表れるので、それを見ながら乗り歩くのはなかなかオツなひとときでした。


景色は乗った後に(遠距離館)ラトビアもくじ>このページ

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