ラトビアの長距離(?)列車


 ラトビアは国土があまり広くなく、その中ほどにある首都リガがラトビア鉄道の列車運行の中心になっています。となると国内の旅客列車にはあまり長距離のものがありません。長くても200km台にとどまります。そんなわけでこのコンテンツのタイトルもあくまで「リガ近郊電車などに比べれば比較的」長距離、という程度の意味とお考え下さい。

 以下はその(比較的)長距離を走る列車のひとつ、首都リガとラトビア第二の都市ダウガフピルス(Daugavpils)を結ぶラトビア一の幹線(?)を走る鈍行に乗ったときの様子です。


★リガ駅

 まだ薄暗い朝のリガ駅に着くと電車と同じ塗色の気動車がダウガフピルスという行先表示を出して待っています。気動車は国産、ラトビア車両製作所(RVR)製の気動車DR1で、電車同様共産圏に広く供給されていたものです。同じところで作っているだけあり外板のリブに両開き扉や窓周りのつくりなど車体のつくりが電車とよく似ています。

 編成は前方ダウガフピルス側2両は動力なし、後方1両のみ動力車の3両で日本風に言うとキクハ・キサハ・キハです。となれば私はとりあえず動力のついたキハに乗るわけですが、この車両はかなりの部分を機器室に場所をとられ客室が小さめ、ということは当然座席も少なめということになります。


 この列車は全車自由席ですがキハだけ座席が2列+2列(通路を挟んで前向き・後ろ向きのそれぞれ一方向固定)、残り2両は2列+3列のボックスシートと差がありました。更新時期の差でしょうか。


 車掌さんは一番端の席(左の画像)を「基地」にしています。発車時刻が近づくと雑貨の車内販売がやってきて、こまごまと車内を回るのではなく口上で売るため何だか演説のようでした。公認か非公認かはわかりませんが車掌さんは見ても全く意に介す様子がなく、乗客はなんとなく見入っていて発車ギリギリになると商売をおしまいにして出て行きます。ちなみに近郊電車に乗ったときも発車前に同様の車内販売がやってきました。

 走り出すと速度はあまりのらずエンジン音はやや控えめで、各駅停車ということもあってスピード感のある列車ではありませんが停車時間が短くかなりキビキビと進んでいくのでストレスは感じません。車窓は基本的に白樺など森林の中という感じです。電化されているリガ近郊区間を抜け複線から単線になっても対向列車とキッチリ交換し定時が守られます。単線の脇にはほぼずっと用地が確保され複線化の工事をしているようでした。


 リガから129km来た分岐駅Krustpils(左の画像)では時刻表上少々停車時間があるのですが、ここで降りる乗客以外ホームに降りてウロウロするような人もなく、自動扉が閉まったらそれまでですからややおっかなびっくりで降り立ってみます。といって売店があるわけでもないのですが。この頃までには車内はガラガラになっていました。

 右の画像はその次のTrepe駅です。小駅は簡素なホームだけというところもありますが駅舎はどこもキレイで見ていて気持ちがいいものでした。


★ダウガフピルス駅

 なぜか終着駅のダウガフピルスに着く直前だけ結構飛ばすのでおお、と思ったもののあまり味わう間もなく到着し今回の乗り鉄はおしまいです。ダウガフピルスはリトアニアやベラルーシとの国境にごく近い場所でラトビアの南東端にあたります。ここまでリガから218km・4時間2分というとやや遅めですが鈍行では仕方ないところでしょう。前述の通り一度空いてまたダウガフピルスが近づくにつれそこそこ乗る、という乗客の動きだったのでラトビアの二大都市を結ぶ列車とは言え鈍行らしく都市間輸送の役目は薄そうです。

 広くキレイな駅舎内にひと気は少なくガランとしています。駅正面にはやはりキレイに整備された歩行者専用の商店街が延び、近くには市電も走るのですが人通りは少なく「ラトビア第二の都市」の駅前と言ってもごく静かでした。


(2012年訪問)


景色は乗った後に(表紙)ラトビアもくじ>このページ

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