鉄道でラトビアからリトアニアへ


 バルト三国の鉄道は軌間が同じで各国間のレールは複数箇所でつながっているのですが、国境を越える旅客列車は意外にもごく限られています。エストニア・ラトビア、ラトビア・リトアニアでそれぞれ1ヶ所・1往復ずつというありさまですから陸路の場合素直にバスを使うのが正攻法でしょう。

 それでも「遊び乗り」しようという場合、エストニア・ラトビア国境を越える列車は昼行で乗りやすそうです。これに対しラトビア・エストニア国境を越える列車はやや厄介になってきます。ロシアのサンクトペテルブルクとリトアニアのヴィリニュスを結ぶ夜行列車が途中ラトビア「も」通るといった感じのもので、ラトビア・エストニア間の(ローカル)利用はあまり考慮されていない感じです。

 さてここで話は急に個人的なものに移りますが、私の旅程はちょうどこの夜行列車の通るラトビアのダウガフピルスからヴィリニュスまでの移動が必要になるものでした。ならこの列車使えるのでは?と考えてダイヤを見たところダウガフピルス5:50→ヴィリニュス8:18と早起きすればなんとかなる時間帯です。(ちなみに逆方向はヴィリニュス19:32→ダウガフピルス22:00とこちらも夜を越えない利用が可能。)

 それならまあ「ケチって始発から『18きっぷ』使うとき」よりは遅起きか、というわけで国境越えの夜行列車にちょっとだけ乗ってみることにしました。


 以下話に出てくる複数の列車の関係がわかりにくいので最初に図を入れておきます。

 青・赤・緑が国際列車で、2色がくっついている区間は併結運転しているという意味です。


 まだ真っ暗な早朝のダウガフピルス駅に着き、切符は前日に買っておいたのですぐホームに入ると客車だけが停まっているのが見えました。これがサンクトペテルブルクからやってきたヴィリニュス行き列車で、この駅では5:22着5:50発と28分の停車時間を設け機関車を付け替えます。なので既にここまで牽いてきた機関車は離れているというわけ。客車だけ置かれていると何だか頼りなく感じます。

 後ろには違う色の客車がつながっていました。朱色がリトアニアで黄色がラトビアのもの。サンクトペテルブルクからヴィリニュス行き5両とリガ行き6両が併結されて来てここで切り離すというわけです。(両者それぞれ別に食堂車が付いていました。ということは併結中なら一つの列車に乗って2ヶ国の料理をハシゴできるのかな?)前の方で警笛の音がするので見に行くとここから引っ張るリトアニアの機関車がやってきました。自動連結器なのに客車にバッファーがついてて機関車はバッファーなし、もちろんねじ式連結器の「キリキリ締め」はなく、と見慣れないロシア風連結シーンに感心します。


 無事リトアニアの機関車がくっついたのでまた後ろに行くと今度はいつの間にかリガ行き編成の切り離しが終わり位置が離されています。いつの間に引っ張ったの?とはるばる最後尾を見に行ったら入換機がくっついていました。ちなみにこの切り離されたリガ行きは5:43到着予定のミンスク(ベラルーシ)発リガ行きを併結してから6:22に発車します。離したりくっつけたり大変ですね。


 というわけでヴィリニュス行き編成が出来上がりました。右側に並ぶ気動車は5:50に同時発車するリガ行きの鈍行です。たった今切り離したリガ行き編成はこの鈍行を追いかけることになるわけですが、リガ到着まで追い抜きはありません。なのでサンクトペテルブルク(あるいはミンスク)方面から乗ってきた乗客はここで鈍行に乗り換えると乗り続けるより早くリガにつけることになります。(と言ってもリガ到着はたった11分早くなるだけですけれど。「列車トリック」に使えるかな?)

 発車時刻が近づいたので座席車に乗りこんでみると夜行列車だけありかなり減光されています。暗くてわかりにくいのですが私以外に乗客はなく貸切状態でした。窓の下半分にだけカーテンがかかる様子にはなかなか風情があります。


 5:50になると同時発車の鈍行と共に発車ベル等はなく静かに走り出し、しばらく併走してからダウガヴァ川の鉄橋を渡りやがて人家が見えなくなります。暗い車窓でどこが国境かわからないままいつの間にかリトアニアに入っていて、ダウガフピルスから36km離れた次の停車駅ヴィサギナス(Visaginas)には6:22に着きます。国境を越えたと言ってもシェンゲン協定のおかげでパスポートのチェック等は何もありません。

 このまま乗り続ければヴィリニュスですが、リトアニア側の国内ローカル列車に乗ってみたかったのでここで降りました。まだ夜明け前で暗くホーム一面一線の小さな駅に降り立つのはやや心細いものがあるものの、待合室のある新しい駅舎に駅員も配置されているので即路頭に迷う、みたいな感じはありません。

 ちなみにこのヴィサギナスは原発のために作られた比較的新しい町(ただしチェルノブイリ事故の影響で危険性を指摘され操業は停止。)です。なので駅は小さくとも寒村ではありません。それなら駅前に何かあるかと思ったら店や人家は全くなくバス停とロータリーしかありませんでした。そんな状況なので路頭には迷わないけど時間つぶしをするには歩くかバスに乗って町の中心まで出ることになります。(町の中心までは2km程度)

 というわけでラトビア・リトアニア国境を越える区間だけ夜行列車に乗った、という話でした。このつづき、ヴィサギナスで乗ったリトアニア側国内ローカル列車の話はこちらです。

(※ヴィサギナスの町の様子についてはブログをご覧下さい。)


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