リトアニア鉄道の近郊電車ER9


 リトアニア鉄道の電化区間にはER9という電車が走っています。この車両は隣国ラトビアのリガ車両製作所(RVR)によって交流25000V区間用に作られたものです。

 リトアニアとラトビアはお隣同士ですが、ラトビア鉄道の電化区間は直流3000Vと異なった方式を採用されていて、同じRVR製でもER9ではなくER2という電車が活躍しています。ただ交流用・直流用の違いはあっても同時代(製造初年は1962年)に作られていたもので車体は共通していて、どちらも旧共産圏各地に広く供給されました。今もあちこちで活躍しています。それなら両者を並べてみたら面白いかも、というのが以下です。日本だったら例えば415系と113系辺りを並べるようなイメージでお付き合いいただければと思います。

(以下特記がないものは左がリトアニアのER9で右がラトビアのER2)


 ER9・ER2どちらも2M2T・3M3T…とMT同数で編成を組むため両数は偶数になり、電動車は常に中間で制御電動車すなわち「クモハ」はありません。生産開始直後の車両は「顔」がこの画像の車両とデザインが違い曲線を主体としたものだったとのことです。また右の画像のように「おでこ」に行先表示窓がついていたり顔ごと更新されたものもあったり大小様々な差異が生まれています。日本だったらさしずめ全国に散らばった国鉄形を追っかけるマニアのように旧共産圏を飛び回って個体差をチェックしているマニアもきっと少なからずいることでしょうね。


 面構えはとりあえずそっくりですがRVRマークの位置が違う点が目に付きます。

 と「顔」を見ていて思い出したのが中国の撫順で走っていた電車と東風4号機関車です。オマケでちょっと画像を付け加えておきますが似ているでしょうか。


 話が逸れたので戻します。パンタグラフ周りを見上げるとさすが交流25000V用だけありER9の方が碍子が大きく物々しい雰囲気です。パンタグラフの下半分が枠状ではなく一本棒なところがちょっと面白く感じました。


 両車を並べるのはこのくらいにして、最後にER9の画像をもう少し付け加えます。上の画像のER9の車内は1列減らし3+2のボックスシートとゆったり目に配置されていますがこちらのように3+3のままのものもありいろいろと差があるようです。(室内の中ほど右に見える出っぱりは機器スペース)ER9・ER2とも編成中間部の連結には自動連結器とバッファが併用されています。


 改造・更新が行われ今後も長く活躍しそう、ということは当分は釣り掛け音が楽しめることになりその点頼もしい存在です。


(2012年訪問)


景色は乗った後に(表紙)リトアニアもくじ>このページ

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