のんびり近郊客車(ロボス往復後編)


 前編でブエノスアイレスからポルトガル気動車に乗った際、降りる駅をロボス(Lobos)にした理由はブエノスアイレスへの戻りに別のルートをとれるからです。ブエノスアイレス〜ロボスを鉄道で移動する場合、気動車が走るConstitucion〜Empalme Lobos〜Lobosというロカ線経由のほかに、Lobos〜Empalme Lobos〜Merloの非電化客車区間とMerlo〜Onceの第三軌条式電化路線を乗り継ぐサルミエント線経由があります。ロカ線経由は週に数本という過疎ダイヤなのでブエノスアイレス〜ロボスは乗り換えがあっても毎日一定の本数が確保されているサルミエント線経由を使う方がおそらく一般的でしょう。そのサルミエント線経由で乗り鉄したときの模様を後編として以下見ていきます。


 ではロボス駅から話を始めます。駅に着くとMerlo行きの列車は機回しの最中でした。ロボス駅のホームは駅本屋にくっついた1本しかありません。芝生に埋もれ青々とした軌道敷が目に鮮やかです。

 どことなく東武電車を思い出すような塗色の客車に乗り込むと2列+3列の転換クロスシートが並んでいます。だいぶくたびれてはいますがさすがは転換クロスでゆったりした掛け心地でした。


 10:13の定刻に黒煙をあげてロボスをゆっくりと発車し、すぐ隣のEmpalme Lobos駅で前日気動車に乗って来た経路と分かれます。ここからロボスの町を抜けるとあとは広い草原が続くばかりです。周りに何も建物が見えないような草原の真ん中の駅でも降りてどこかへ歩いていくお客がいるので不思議でした。


 1時間ほどで着いた交換駅のLas Herasは往年の阪神春日野道よりも狭い島式ホームというよりただの台というべきかというようなものなので列車に挟まれるとちょっと怖そうです。対向列車が来たら交換して11:13に発車します。


 Km34.5というひねりのない駅名が見られました。おそらくブエノスアイレスのターミナル駅Once辺りからの距離かと思われます。ここを出て間もなくすると地上の第三軌条が見えて来て終着のMerlo駅には12:09の到着です。


 Merloの客車ホームに着くとほどなく機回しが始まります。ブエノスアイレスでは都市近郊列車でも客車が多くあちこちで頻繁に機回しが行われていたのでびっくりしました。右の画像は客車ホームの端で待つ青空清算窓口とでも言うような駅員さんの姿です。無札の乗客の清算をしたり電車への連絡乗車券を売っているのですが、そういえば雨の日はどうしているのだろうかとちょっと気になりました。(MerloからOnceまで乗ったサルミエント線近郊電車の画像はこちら)


 というわけでブエノスアイレスからたかだか100kmくらいのロボスまで泊まりがけで行くというのもちょっとアホらしい感じながら往復とも楽しい乗り鉄でした。


(2010年訪問)


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