ポルトガルから来た気動車100形


 2006年にポルトガルを訪問した際100形というずんぐりとした単行気動車に乗り気に入りました。(右の赤塗装がその100形のポルトガルでの姿です。)
 この100形はポルトガルでは定期運用から引退してしまったのですが、その後一部の車両がアルゼンチンに渡り元気に活躍しています。
 この第二の人生とでもいうべきアルゼンチンでの活躍の場はConstitucion〜General Alvear間、片道233km・7時間半を超える長丁場というから驚きです。ローカル線をのんびり行き来していたポルトガル時代がウソのよう。
 ではアルゼンチンでの走りはどんなものなのか、それを味わうべくブエノスアイレスのコンスティトゥシオン駅(Constitucion)に向かいました。


★コンスティトゥシオン駅(コンスティトゥシオン駅の画像はこちらにもあります。)

 ブエノスアイレス南部の大ターミナル、コンスティトゥシオン駅からは通勤電車や客車列車が続々と出発して行きます。

 その片隅にGeneral Alvear行き100形がひっそりとやってきました。ポルトガル時代より垢抜けた他車と同様の塗装になっているのでまずびっくり。

 ちなみにこの車両がコンスティトゥシオン駅にやってくるのはダイヤ上週4往復、8回のみです。色は他の電車や客車と同じでもたった1両の列車は他にないので非常に目立ち、この列車に乗らない乗客が「え?」という顔で振り返る様子も見られました。ホームで待つ乗客が単行気動車で足りる程度の少なさというのも大ターミナルに似合わずちょっと不思議な雰囲気です。スウェーデンNOHAB社の大きな文字が描かれた銘板を見ると1948年製ともう還暦を超えているのですが「LGR」も鮮やかな新塗装のおかげかあまり古さを感じさせません。

 では車内に入ります。ポルトガルでは元々1・2等合造車だったのをアコモの違いを残したまま全車2等として使っていましたが、アルゼンチンでも同様でモノクラスです。左が2列+3列ボックスシートの中にエンジンのでっぱりがある2等、右が2+2ボックスの1等、どっちに掛けても運賃は同じ。


 席がだいたい埋まったかなというくらいの乗客を乗せて16:45にコンスティトゥシオンを出発。まず複々線の列車線を走ります。東京で例えるなら常磐線辺りの快速線にいきなり単行のキハ52がやってきて通過していくようなものでしょうか。途中通過する駅のホームで待つ人の視線がこちらに釘付けになり、指を差して驚いている人もいました。

 列車が混みあう複々線が終わるとエンジン音も高らかにぐんぐん加速します。運転室のスピードメーターが止まったままだったのが残念ですが90km/hに届いていそうな迫力。旧型単行気動車第二の人生とくればのんびりみたいなことになるかと思えばまさかポルトガルより熱い走りとは…広軌の直線区間を小気味よく飛ばす乗り心地に酔いしれます。


 電化区間が終わると徐々にローカル色が濃くなり走りもペースが落ちてきます。線路際の延びた雑草がバチバチと窓をこすり、ちぎれて車内に舞い散るのもご愛嬌。(おそらくこれが側面の塗装がハゲている理由)腕木の停止信号につかまりしばし停車、進行現示になったらまた広い草原を走り続けます。

 コンスティトゥシオン駅から南西に102km、定時の19:04を少々過ぎてLobos駅に到着しました。終着のGeneral Alvear到着は0:20とまだまだ先は長いのですが、私は残念ながらそこまでお付き合いする時間の余裕がないのでここでさようならということにします。


 というわけで100形の第二の人生(車生?)は実に快調、さすがは間もなく100年に手が届こうという地下鉄が走る国、還暦ではまだヒヨっ子なのかもと感心するばかりでした。さらに旅を続ける100形を見送ったらLobos駅近くに投宿。翌朝ブエノスアイレスに戻るために乗った別経路を通る客車列車の様子は後編をご覧ください。


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