マルタのバスの車内


 マルタのスリーマ(Sliema)という街で発車待ちをしているバスにお邪魔します。外観同様に車内もバスごとに違うのですが、車内レイアウトの基本は大体同じだったので古いバスの車内の一典型としてご覧下さい。

 出入口は前に一箇所のみ、運賃先払いの前乗り前降りです。扉は見た限り全てのバスが開けっ放しで、それどころかそもそも扉がついていない車両の方が多いくらいでした。(右端は扉がそもそもついてないバスです。)


 先頭の運転席横の助手席に当たる場所はロングシートの客席であることがほとんどで、フロントガラスには番号を取り替えられる系統番号差しが備え付けられています。運転席直後の座席が一つだけ後ろ向きでボックスシート状、その他の座席は2列席が前向きに並ぶというのが標準的な座席配置です。


 運賃はゾーンを越えると上がって行くシステムなので(他バスへの乗り換えはできない乗り切り制)乗るとき運転士さんに行先を告げて切符を買います。(一日乗車券も車内で発売)

 運転席にはレシートのような切符が出てくる券売機がついていますが、両替機はないのでお釣りがある場合は運転士さんから手渡しです。小銭は画像のように布の上にジャラっと広げておく場合もあればお菓子か何かの空き缶を用意して入れている場合もあってその辺りは運転士さんの趣味ではないかと思われます。

 なおマルタのバスには運賃収受の際にお釣りを受け取らないチップの習慣があります。例えば、最も近距離の運賃47セントに対し乗客が50セント硬貨を渡したとき、運転士さんが3セントのお釣りをつかんで渡そうとしていても多くの乗客は受け取らず車内に進んでいってしまいます。受け取る人もいますが少数派でした。

 走行中次の停留所を告げるアナウンスなどはありません。降りるところが近づいたら天井の紐を引っ張る、ボタンを押す、黒く車内の前後に設置されたゴムを押す、など車両それぞれの設備に合わせた方法で運転士さんに知らせます。例えばこの画像のバスのようにベルがついている場合はジリジリジリと電動で鳴り、ベルではなくブザーなどの場合もあったりでこんなところも楽しいものでした。


 もう一両同様に車内外の画像を貼っておきます。

 運転席付近は運転士さんの趣味が出るようです。たいていの古いバスは前面窓の上に「ありがたい方面」が飾られ、また「神を信じましょう」というようなステッカーが車内に貼られていることも多く信心深い方が多いようです。


 車体の内外には文字や装飾が器用に描かれいいアクセントになっていました。手作りの温もりがあふれる字で入口にWelcome Aboardなんて書いてあるとつい乗りたくなってしまいます。


景色は乗った後に(表紙)マルタもくじ>このページ

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