ゆっくりローカル電車


 ポーランド南部でチェコに行く国際列車に乗ったり「国境見物」をしました。このとき経由した国境の町ハウプキ(Chalupki)からカトヴィツェ(Katowice・この地域の中心都市)まで走るローカル列車の様子を以下見ていきます。


★ハウプキ駅

 まずその列車の運行区間(茶線)の模式図を入れますのでご覧ください。スタートのハウプキ駅に入ると駅舎にくっついたホームが切り欠きホームになっていて、ここで国内側からの列車が折り返せるようになっています。日本だったら「0番線」になるところでしょうが、ホーム番号は線路ごとではなくホームごとに振られているのでチェコに続くスルー線側と折り返し側の両方ともが1番線です。

 車両はポーランドでおなじみのEN57電車です。珍しさはありませんがこれなら窓を開けて釣り掛け音を楽しみながら乗り鉄できるのでほっとしました。


 では夕方の16:11に発車。車内はガラガラです。シートの破れはきれいに補修され各ボックスシートごとにあるくずかごにはちゃんとビニール袋がかかり清掃状況は良好とごく快適。そこへオニヤンマ(かな?おなじみのとちょっと色が違います。)が入ってきてブンブン。ヤンマは咬まれると痛いからキライだけど捕まえると首が取れやすくてちょっと気の毒だったり…なのでそーっと窓から追っ払います。


★のんびり運転

 ひと駅目のRudyszwald駅で既に乗った国際列車の路線から東に単線で分岐します。窓から田舎の空気を浴びていると気分は悪くないのだけれど、どうもあまり力行せず惰行が続き非常に遅いのでせっかく釣り掛けの電動車に乗っているのにイマイチな感じ。なので音より展望を優先することにして運転室にお邪魔しかぶりつかせてもらうことにしました。

 運転室にはスピードメーターがあるので見ていると30〜40km/hくらい、この車両の最高速度は110km/hと決して「出せない」わけではないのですが力を持て余した走りが続きます。助手席に腰掛けてなかなか流れていかない西日に照らされた車窓を見ているとなんだか日本のローカル電化私鉄に乗っているような気分になってきました。

 あまり起伏がなく林や畑ののんびりした風景です。ほれあそこにヤギがいるよ、と運転士さんが指差します。追い散らしてゴメン、って私がヤギさんに謝るのも変ですが。


 ハウプキを出てとろとろと50分ほど走ったWodzislaw Slaski駅(左端の画像)から複線のロングレール区間になりますが、スピードはあまり変わりません。駅や施設は工事中あるいは工事してあまり経っていない様子で設備を更新している最中のようでした。


 さらに30分ちょっと走るとLeszczyny駅(左端の画像)からまた単線区間になります。もともとゆっくりのうえ踏切など徐行する箇所が少なからずありなんだか路面電車じみた走りです。時折工場が見えたりもしますがあまり線路脇には人家が見えません。


 Orzesze駅(左端の画像)で対向列車と交換しそろそろカトヴィツェが近くなってきたかなあ、と思うのですが車窓はまだまだのどかです。


★カトヴィツェ到着

 いよいよ日が暮れてきました。カトヴィツェ郊外にあるKatowice Ligota駅で南方からの路線と合流すると複線区間になります。ここでようやくスピードがのり80km/hを超えたのもつかの間、入線待ちの赤信号にしばらく止められました。出発する列車とすれ違ったのちゆっくりと駅の明かりに吸い込まれていきます。


 18:29にホームの切り替え工事が進む終着のカトヴィツェ駅に到着しました。曲線の屋根が目立つ新しいホームは丸っこい新型の連接電車が似合うのはもちろん、EN57のシンプルで機能美を感じさせるスタイルとの組み合わせもまた悪くないものです。

 というわけで結局最後まで電動車には戻らず2時間ほどかぶりついていたことになりますが、日が暮れていくゆったりした景色を眺めて過ごすのはなかなかオツなものでした。別に珍しくはない車両でありこれといって絶景がない路線であっても揺られているとなんとなく癒される、そんな良さがEN57にはあるような気がします。

(※Rudyszwald〜Wodzislaw Slaskiの定期旅客列車は訪問後一旦改良工事のため休止期間を挟んだのち運行が再開されています。2016年に同区間を走る列車に改めて乗ったところロングレール区間が増えスピードものるようになりだいぶ雰囲気が変わっていました。)


景色は乗った後に(遠距離館)ポーランドもくじ>このページ

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