ドウロ川と狭軌線(中編)ミランデラの狭軌線


(前編のつづきです。)メーターゲージのトゥア線は大部分が廃止されてしまったものの、ミランデラ付近の区間は他の鉄道との接続がない離れ小島あるいは飛び地のようになって旅客列車の運行が続けられています。これに乗ってみることにしました。


 生き残っている区間は約16kmあり列車の運行はミランデラ駅を境に北のCarvalhaisに向かう約4kmと南のCachaoに向かう約12kmに分かれています。使われる車両は両区間共通で1960年代の旧ユーゴ製気動車を更新したという単行気動車です。車内はバスのような1人掛けの座席が向かい合いボックスシート状に並ぶあっさりしたもので、前後の運転席は個室ではなく客室の隅に控えめに設けられています。


 まずは北側から乗ることにしました。ミランデラ駅を出るとすぐに街が展開する丘に開けられたトンネルに突っ込んで行くというなかなかダイナミックな展開です。


 トンネルの直前にあるTarana駅がミランデラの街の中心に近いところで、トンネルを抜けるとそれなりに人家が続くものの畑の多いところを走るようになります。駅は見たところどれも割に新しく整備されたもののようです。


 ミランデラ駅から10分弱で北側の終点Carvalhaisに着きました。この駅には車庫が併設されています。集落から離れ周囲は畑や放牧された羊が目立つのどかなところでした。


 ミランデラ駅に戻って今度は南側の乗りつぶしです。こちらは北側にくらべ車窓に見える人家がぐっと少なくなりいわゆるローカル線らしい雰囲気でトゥア川沿いを下って行きます。


 淡々と走りミランデラ駅から20分で終点のCachaoです。立派な駅舎があり廃線になったトゥア方面へ錆びたレールが続いていて存在感がある駅ながら単行気動車が端に停まってすぐ折り返すだけなのはちょっと寂しいものがありました。


 暗くなってから見る単行気動車はいよいよ寂しげです。一通り乗ってみてよくここだけ廃止されずに残っているものだと感心させられました。ともあれミランデラの乗れる区間に乗り終わった後はせっかくなのでかつてのトゥア線の末端ブラガンサまでバスで足を伸ばしてみることにします。


 つづきの後編はこちらです。


景色は乗った後に(表紙)ポルトガルもくじ>このページ

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