ドウロ川と狭軌線(後編)ドウロ線東端部


(中編のつづき)ミランデラで生き残るトゥア線の気動車に乗ったのち、かつてトゥア線の末端だったブラガンサに行ってみることにしました。


 ミランデラ駅と一体になったミランデラのバスターミナル(左端の画像)からバスで約1時間のブラガンサのバスターミナル(左の画像右側)には旧ブラガンサ駅の駅舎(右の画像)が残っています。駅舎は現在はバスの券売所・待合所・カフェとして使われていて、ベンチは列車が来ていた時代を思い起こさせる凝ったデザインです。


 車両の保存庫とターンテーブルがバスターミナルに隣接していますが公開はされていませんでした。ともあれ駅の名残がよく残された様子を見て納得したらバスに乗り、現在のドウロ線の末端ポシーニョに向かうことにします。乗ったのはコインブラ経由リスボン行のバスで、ブラガンサから南下しドウロ川の堰上の道路を渡るとき廃止になった狭軌線(Sabor線)の鉄橋(右上の画像)が下流に見えます。渡りきるとポシーニョ駅のすぐそば(右下の画像)に到着。ブラガンサからここまで約1時間20分と私はそれほど乗っていませんが、まだコインブラまで3時間20分、終点のリスボンまで5時間45分も残っているバスなので道中お気をつけてと見送りドウロ線に乗り継ぎます。


 このドウロ線はかつてポシーニョからさらにドウロ川をさかのぼり国境を越えスペインに続いていました。ポシーニョはこれに加えバスから鉄橋が見えたSabor線もやってくる接続駅だったのですがどちらも廃止になり、今は西のポルト方からドウロ線が延びてくるのみです。ただ鉄道だけ見ると行き止まりでもバスに乗り継げばあちこちに抜けられるのでどん詰まり感はありません。今回乗った北のブラガンサのほか南のCerolico da Beira、コインブラやリスボン方面、旧Sabor線に沿って東に向かうMiranda do Douro行きの便などバスを組み合わせると変化がつきより楽しくドウロ線に乗れます。ちなみに前回はコインブラから鉄道でCerolico da Beiraに出てバスに乗り継ぎポシーニョ入りしたところなかなかオツでした。

 という具合に各地からのバスが発着する停留所から坂を下ってポシーニョ駅に入ると駅舎のホーム側に素晴らしいアズレージョがあるのでしばし見物。収穫した葡萄を担ぐ様子が描かれています。


 発車を待っていたのはスペイン中古気動車の定期列車と臨時の客車列車。後者はアーモンド開花の時期に運行される花見ツアー列車です。ただ車窓から直接見るわけではなくバスに乗り換えて名所に向かうのだとか。ピカピカのディーゼル機関車が牽くステンレス客車はポルトガルでよく見かけるもので特別な車両ではありませんでした。

 ここから気動車の方に乗ってピニャオン(Pinhao)というところを目指します。車窓に続く段々畑を見ていたらポシーニョ駅のアズレージョが頭に浮かびこりゃ大変だろうなあとしみじみ思ってしまったりも。


 小駅に停まりながらドウロ川を下り、前編で代行タクシーに乗ったトゥアを経てその次のピニャオンで駅舎を見るために途中下車しました。建物のカタチは地味なのですが壁にずらりとアズレージョが並び順番に見て行くとひとしきりかかります。


 題材はこの辺りの風景や風俗、葡萄の収穫、ワインの積み出しといったもの。駅での地域紹介は日本をはじめ他の国の駅にもありがちですがアズレージョで表現するとこうまでステキになるものかと驚かされます。ワイン飲んだり景色を見ているうちに泊まって行きたくなったりもするところですが先の予定があるのであきらめまたポルト行きの列車に乗りました。


 日が暮れるドウロ川を下ります。以前は窓を開けハコ乗りしながら見た美しい渓谷の夕焼けは固定窓に車内灯が反射してよく見えず歯がゆいものがあるものの、そのうちほろ酔いで寝入ってしまいドウロ川夜舟。気づいたら終着駅ポルトのカンパニャンなのであわてて降ります。ポルトの街の中心にある往路乗ったサン・ベント駅までは行かない列車だったので近郊電車に乗り換えて「振り出し」に戻りました。

 車両の代替わりで窓が開かなくなりなんとなく煮え切らない乗後感(?)はありますが、次は遊覧船で川風を楽しもうかとか未乗のバスとの組み合わせを考えてみたりまた行きたいと思ってしまう地域です。(2015年訪問)


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