いちご列車(Tren de la Fresa)


 春・秋の週末にマドリード(Madrid)とアランフェス(Aranjuez)を結ぶ「いちご列車(Tren de la Fresa)」という観光列車が運行されています。マドリード滞在中にその運行日が重なったので乗ってみることにしました。


 いちご列車が発着する場所はちょっと変わっていて、アトーチャ(Atocha)やチャマルティン(Chamartin)といったターミナル駅ではなく地下鉄3号線デリシアス(Delicias)駅近くにあるマドリード鉄道博物館(Museo del Ferrocarril de Madrid)です。と言っても昔のターミナル駅の建物を流用した博物館なので(元)ターミナル駅ではあります。博物館の週末の開館時間が10〜15時なのに対しいちご列車の発車時刻は10時なので乗客は博物館の見物客より少々早く入館して乗車することになり、アランフェス発の列車が戻るのは19時ですから見物客と乗客は館内ではかち合いません。

 館内に入るとすぐのところにタルゴ2が置かれていました。私はスペインの車両というといまだにタルゴ3のイメージが強くまた好みなので「丸っこくて赤い」このタルゴ2もいかにもスペインの車両っぽいなあとうれしくなってしまいます。


 タルゴ2のホームをずっと歩いて行くといちご列車の旧型客車が停まっていました。かつていちご列車は蒸気機関車牽引だったそうですが現在は専用塗装のディーゼル機関車が牽いています。


 車内は木のベンチのボックスシートが2+3列に並ぶ古風な雰囲気ですが窓は固定されエアコンがついていました。博物館に出入りする引き込み線から本線へと進んで行くうちに古風な衣装の係員の方がいちごのパックを配りに来ます。アランフェスはイチゴの産地として有名で、さらにはこうして車内で食べながら行けるのでいちご列車というわけです。マドリードの街中を抜けると時折近郊電車とすれ違いながら乾いた景色の中を走り、博物館から約1時間でアランフェス駅に着きました。


 いちご列車は列車だけの切符は販売されず駅前から貸切バスを使ったアランフェス観光が含まれたツアーの形で販売されます。アランフェスは初めてではなくとりたてて見物したいというわけでもないので抱き合わせでない列車だけの切符も販売して欲しいところですが、ともあれ払った切符代にバス代や入場料が入っていると思うとその分を捨てるのももったいないので見物に参加しました。というとなんだかネガティブな感じになってしまいますがタホ(Tajo)川のほとりにある風光明媚なアランフェスだけに気持ちのよい時間が過ごせたのはもちろんです。

 自由時間にレストランで昼食を食べながらそれほど大きくないタホ川を見ているとこれがポルトガルのリスボンまで下ると大きなテージョ(Tejo)川になるのがウソのような気がします。ネコに見られながらデザートに大量のクリームと砂糖をかけたイチゴを食べていたらリスボンの赤い保存トラムを思い出してしまいました。


 アランフェス観光が終わったら機回しの済んだいちご列車に乗ります。18時にアランフェスを出てしばらくは近郊電車に混ざって走るだけありそこそこ飛ばし、マドリードの街中に近づくと本線から貨物ヤードらしきところを通って博物館の引き込み線へと徐々にゆっくりになっていきました。


 博物館が近づくと普段人が自由に出入りしている公園のようなところを走る際にパトカーに先導されます。これは一種の併用軌道と言っていいのかよくわかりませんがユーモラスな光景でびっくりしました。


 先導を終え軌道の脇によけているパトカーに見送られながら博物館に入ります。旧型客車が博物館を出て博物館に戻るというのは一種の物語のような面白さです。

 という具合に乗り鉄というより朝から晩までツアーに参加したという感じですがなかなか楽しく過ごせました。


景色は乗った後に(遠距離館)スペインもくじ>このページ

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