マヨルカ島北部電車バス乗り継ぎ


 マヨルカ島の鉄道は914mm軌間の電化路線(ソーイェル鉄道/Ferrocarril de Soller)とSFM(Servicios Ferroviarios de Mallorca)が運行するメーターゲージの電化・非電化路線があり、前者は今も旧型車両によって運行され観光名所あるいは保存鉄道のような存在である一方、後者は現代的に整備された都市近郊鉄道になっています。

 またマヨルカ島の路線バス網はマヨルカ島最大の都市パルマ(Palma de Mallorca)の市内バス「EMT(Empresa Municipal de Transports de Palma de Mallorca)」とパルマから郊外さらに全島へ路線を広げる「tib(Transportes de las Islas Baleares)」が担っています。ソーイェル鉄道に乗った後それ以外の鉄道・バスにもちょっと挨拶しておこうとなんとなく気になったところを乗り継いでみることにしました。


 まだ暗い時間に起きて向かったのはパルマのスペイン広場(Placa d'Espanya)です。地上にある市内バスの停留所やソーイェル鉄道の駅を見ながらエスカレータで乗り換え地下に降りるとメーターゲージの鉄道が発着する5面10線の頭端式ホームとtibバスの合造ターミナル(Estacio Intermodal)がひろがっています。地味めな入口からはこう大きい空間が地下にあると想像できなかったのでびっくりしました。


 乗った電車はメーターゲージの東端Manacor行きと表示されていましたが実際の行先は電化区間が終わるEmpalmeで、そこからManacorまで行くには非電化区間のため接続する気動車に乗り換えが必要です。名鉄風だと「Manacor接続Empalme」みたいな感じかな、などとふと思い出してしまいました。ただ今回乗ったのは約30分で着く電化区間内のインカ(Inca)駅(右下の画像)までです。ホームは屋根付きの高床になっていますが端は低床ホームと古い駅舎にくっついているちょっと面白い雰囲気でした。


 インカ駅の脇にある近郊バスのターミナルで北のトラムンタナ山脈に向かう330番のバスに乗ります。平地から険しい山あいの道へと35分走ると終点のユック(Lluc)で、修道院(Santuari de Lluc)門前のロータリーが停留所です。


 ユックの修道院は付近に人家のない山間地ですが敷地内にホテルやレストラン、売店を備え観光バスもやって来る観光地なのでとりあえず着いて困らないところでした。このユックからがこの日の乗りバスのメイン、1日1往復しかない355番サ・カロブラ(Sa Calobra)行きです。サ・カロブラはトラムンタナ山脈北側の海沿いにある集落で、山間部から海に下る道路はループ線もあるすさまじい曲線が続きます。


 ひたすらぐねぐねうねうねとして狭いもののよく整備されている道路そのものも周囲の景色も美しく迫力があり、バスをあやつるベテランらしき運転士さんのハンドルさばきは無駄のない実にスムーズなもので感心させられました。こんな楽しいかぶりつきはそうそうないというひとときだったのですが、乗客は往復とも私1人だったのはなんだかもったいない気もするところです。

 終点サ・カロブラは目の前が海でここに来れる車道は走って来た道路のみ、当然先に乗り継げるバスはなし、という行き止まりなのでまた同じ355番で折り返すことになります。幸いすぐに折り返すダイヤではなく戻るバスの発車まで2時間程度あったので停留所から10分くらい歩いたところにある景勝地(Torrent de Pareis)に行きました。河口ギリギリまで続く渓谷が狭い岩間の河口から海にそそぐ手前でやや広がっている、という言葉で表すより一見に如かずという面白い場所です。見物後バス停付近に戻るとレストランが数軒あるのでそこで昼食を済ますとちょうど戻るバスの時間になりました。


 ユックに戻ったらソーイェル行きの354番に乗り継ぎダム湖を見ながら山間を西へと進み高度を下げて行きます。100年モノの路面電車が見えたらソーイェル港です。バスやクルマは海岸べりや旧市街を避けトンネルのバイパスなど裏道を通り、旧市街や気持ちのいい海岸沿いは路面電車とヒト、と分けているので路面電車に乗った翌日だったこともあり舞台裏を見たような気が気がしました。

 ロータリーの片隅にあるソーイェル港停留所を経由したのちソーイェルの町へと向かいます。ユックから1時間強で着いた終点はソーイェル鉄道のソーイェル駅からはやや離れたところにある小さなバスターミナルでした。


 この日最後のバスはパルマ行きの211番です。車両は355・354番のような観光バスタイプではなく市内バスタイプでした。ソーイェルのバスターミナルを出るとしばらくの上り坂のあとにトラムンタナ山脈を抜ける有料道路トンネルを通り、その後パルマへとずっと下って終点の地下バスターミナル(Estacio Intermodal)までは30分ちょっとです。

 という具合にパルマをからぐるっと一周乗り継いだところ山に海にと変化に富んだ美しい景色が楽しめました。マヨルカ島に足を運んだのは木造電車や路面電車が目当てでその他の鉄道やバスに乗ることは事前にあまり考えていなかったためちょっとトクした気分です。


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