ソーイェルの路面電車


 マヨルカ島のソーイェル(Soller)にはソーイェル鉄道(Ferrocarril de Soller)の路面電車が走っています。パルマ(Palma de Mallorca)からの列車でソーイェル駅に着くと降りたホームのすぐ隣に坂があり件の路面電車が停まっているのが見えました。路面電車の車庫は列車の駅や車庫と同じ高さにあり、そこから坂を下ってソーイェルの町中へと軌道が続いています。(左の画像の車両はこの路面電車が開業した1913年から走っている生え抜きの車両です。右はポルトガルのリスボンで走っていた中古車で前後が電車、中間に客車2両を挟んだ4両編成で運行されていました。)


 乗る前にソーイェルの町中を走る併用軌道を見物してみることにしました。ホーム脇の坂を下ると駅前に出る直前に遮断機と門があるのでここまでが駅構内と思われます。単線になった軌道を追っていくとほどなく教会(Iglesia de Sant Bartomeu)前の広場に出ているレストランやバルの座席の中を4両編成が突っ切るのでびっくりしました。こんなところですから店員さんは注文とったり料理や飲み物を運ぶたびに軌道を跨いで行き来することになり、なんだか遊園地みたいというか、あるいは電車好きの夢とか想像を現実にしたような風景です。(下の画像の車両も元リスボンの中古車でやはり中間に客車2両を挟んだ4両で運行されていました。こちらは顔が原形の曲線を保ったままで、上の画像の中古車は生え抜きの車両風の角ばった顔に改造されたものです。)


 広場の先には交換できるMercat(市場)停留所があり、市場の前を通って専用軌道に続いています。これ以上軌道を追いかけていくとキリがないので見物はこのくらいにして「乗り鉄」にうつることにしました。


 ソーイェル駅前に戻って乗ったのは角ばった顔に改造されたリスボンの中古車です。ここの路面電車は出入口が片側(ソーイェル港行の場合右側)にしか設けられていないのでどの停留所であっても同じ側から乗り降りすることになります。デッカーのコントローラや後から加えられたとおぼしき機器類を見ながら客室に入ると華やかで楽しい雰囲気の内装で、とりあえず終点のソーイェル港(Port de Soller・右の画像)まで乗り通しました。


 ソーイェル駅から約5km・15分ちょっとで着くソーイェル港の周辺では海岸べりを走るのでちょっと見物します。やって来た生え抜きの車両は電車1両で客車を牽いているため両端の停留所で機回し(電車回し?)をすることになり、車掌さんが運転台の運転士さんと示し合わせながら小さくかわいらしいピンリンク式連結器の解放・連結操作を行っていました。


 機回しが済んで乗り込むとこちらはシーメンスのコントローラで車体はやや細め、座席は3列という違いがありリスボンの中古車よりいくぶん落ち着いた雰囲気です。


 海岸を進んだあとは畑やロバ小屋が見えるのどかな専用軌道、町中の併用軌道と改めてかぶりつきを楽しみながらソーイェル駅に戻りました。隣のパルマ行きの木造電車は1929年製なのでだいぶ後輩ということになります。いずれも木目が映える車両はもちろん山に海に町にと沿線も美しくまた変化に富み、こんなステキな鉄・軌道の合わせワザがこの世にはあるのだなあと見ていてしみじみうれしくなりました。


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