ルーマニア最古の現役客車(前編)  客車と路線


 ルーマニアでは1910年代製の古い客車が動態保存などではなく現役で頑張っています。実のところ客車より電車や気動車が好みの私ではありますが、そんな古い車両が日常的に頑張っていると聞いてはさすがに気になり足をのばすことにしました。


★オラヴィツァ駅に停まる2形式

 その旧型客車が走っているのはルーマニアでも1路線のみ、ルーマニア南西部のオラヴィツァ駅(Oravita)と山間部のアニーナ(Anina)を結ぶCFR運行の路線です。便数は1日3往復(土日は2往復)でどれもその旧型客車が運用されています。(オラヴィツァ入りするまでの乗り鉄はこちらをご覧下さい。)

 このアニーナ行きに乗るためオラヴィツァ駅に着くとすぐにその旧型客車が目に付きました。2両編成2組の計4両見え地味な濃緑色の下にはいかめしいトラス棒がのぞきます。と言ってもルーマニアの標準的な客車サイズより寸詰まりなのでかわいらしいもの。ハコそのものは見た感じどれもほぼ同じようなのですが、よく見ると1両だけ台車が古風で29-21形を名乗っており、他の3両はいつなのか履き替えたであろう台車に載っていて28-29形とありました。古風な台車の乗り心地を味わいたいところですがこれから発車する編成は28-29形のみの2両編成の方なのでちょっと残念。


 やや傾けた書体がオシャレなサボが掛かり発車準備が出来ています。乗り込む前にサボの下に書いてある車歴を見ると1914年製とあり、他の28-29形は1915年製と1917年製、29-21形は1914年製とありました。製造順は29‐21が452、28‐29は453からと通し番号になっています。とすると製造年は重なることになりますが、1両だけ違うのは製造の段階で元々違う系列・形式なのか台車振替と何か関係があるのかちょっと気になるところです。

 現在のシンプルなスタイルに一体どの程度製造当初の面影が残っているのかわかりませんが、車内に入ると前中後の3室に小さく分けられ木のベンチに手編みの網棚が掛かるというなかなか古風な雰囲気なのでうれしくなります。


★路線の特徴

 さて車両を紹介したあとは走る路線の特徴を紹介します。

 オラヴィツァ〜アニーナ間はアニーナにある炭鉱(2006年閉山)からオラヴィツァを経てドナウ川の水運までを連絡し石炭を運ぶことを主目的として建設された路線で、完成は1863年です。古い時代に険しい地形を切り開くため急曲線が多用され、現在も20キロ程度を保って山道を行く鈍足ぶり。沿線には制限5キロとか10キロという制限標識も多く見られます。(ダイヤ上は33.4km・339mの高度差に2時間を要します。)そんな規格の低い路線なので現在の標準サイズの客車を入れるには厳しく小ぶりの古い客車を使い続け今に至ったというわけです。


★トンネル

 開業の古さをまず感じさせるものが数々のトンネルです。断面の形はそれぞれ一定ではなく、素掘りの荒々しさから岩盤を穿ったときの生々しさが伝わってきます。標準軌ながらまるで軽便鉄道のよう。


★切り通し

 岩肌が剥き出しの切り通しもトンネルに負けない迫力があります。


★橋梁

 橋は堂々たるアーチ橋が多用されトンネルや切り通しと共に険しい地形を切り開いています。ここでは軽便というより有名どころの登山鉄道のような迫力を見せます。

 というように時代のついた客車と路線の名コンビがつなぐ各駅の様子は後編でご紹介しますので続けておつきあいください。後編へ


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