ブカレストの空港列車


 ルーマニアの首都ブカレスト郊外にあるアンリ・コアンダ空港(「オトペニ空港」と空港所在地の地名に由来する旧名で呼ばれることの方が多いようです。)に夕方着きました。入国審査を済ませたらまずはどうやって市内に出ようかなとひと思案。

 この空港とブカレスト市内を結ぶ公共交通は2つあります。ひとつは空港〜ブカレスト市内間の直通バス、もうひとつは空港の最寄り駅(P.O. Aeroport H)まで鉄道連絡バスに乗って鉄道に乗り換え市内に向かう方法で、乗り継ぎがあり面白そうな後者にしました。


★空港にて

 空港ビル内の目立つところにルーマニア国鉄「CFR」の切符売り場があります。ここで連絡バスと鉄道がセットになったブカレスト北駅までの切符を買うと6.3レイ。券面には23kmとありました。ブカレスト市内交通の一回切符1.3レイと比較するとやや高めの設定という気もしますが空港交通であることを考えると妥当なところでしょうか。(訪問時6.3レイは170円弱)

 空港ビルを出て停留所で待っていると連絡バスがやってきました。鉄道連絡バスといってもこの程度のバスらしくない車両が1台だけで乗客はヒトケタというややさびしい状況です。

 定時より10分ほど遅れて発車しそれほど大きくない空港を出ます。どうということもない田舎道を走っていくとおもむろに舗装されていない脇道に入って間もなく空港駅。空港から空港駅までは2km少々、10分かからない程度ですから定時だと19分とってあるので10分遅れの発車でちょうどいいというわけです。


★空港駅

 さてここが空港駅だというので連絡バスを降りてみると周りには民家がぱらぱらとあるばかり。駅舎も店もないようなところなのでちょっとびっくりします。

 駅の設備は単線に片面ホームがくっつけてあるだけですが、階段ではなくスロープでホームに上るようになっているのは空港連絡駅ということを配慮しているのでしょう。ただ椅子も屋根もないホームなので雨の日雪の日風の日はつらそうです。もっとも空港列車専用の連絡バスなら待ち時間は最小にできますから乗り換えに必要最小限の設備と考えればこれでいいのでしょう。

 ホームで列車を待っているとときどきコケーとかワンワンという声が聞こえるばかり。大きい荷物を持って日が暮れる中このささやかなホームで待つのは頼りないというか手持ち無沙汰というかなんだか落ち着かない感じです。

 定刻より7分遅れてブカレスト北駅行きの列車がやって来ました。この列車が空港駅とブカレスト北駅の間を途中ノンストップで結ぶ空港輸送専用列車です。

 車両はシーメンスの標準車デジロですから正直私の趣味ではないのですが、こういう小駅で見るとちょっとカワイイ感じがするかも。我ながら勝手なものです。

 それにしてもバスと言うのもやや憚られるような小さなクルマで運べる程度の少ない乗客のためにわざわざ専用列車を仕立てている贅沢さには感心です。もっとも朝の5時台から20時台まで毎時1本ずつあるので飛行機の発着が多い時間だと混むのかも知れませんけれど。実際のところどのくらい乗客がいるのかちょっと気になるところです。


★ブカレスト北駅

 発車後すぐに車掌さんが検札に回ったらあとは特に何もなくノンストップ、と言ってもそうスピードは出さないのですが、40分ほど暗くなったブカレスト郊外をとろとろと走ってブカレスト北駅に着きました。定刻通りだと所要35分なので5分遅く、出発が遅れた分を足すと12分の延着。このくらいの遅れならとりあえず問題はない範囲でしょう。

 暗い中固定窓の新車ともなれば乗り味自体はそう特筆すべき点もなかったのですが、予想外の小さな駅から乗ったおかげでルーマニアに着いたしょっぱなからなんだかどっかのローカル線に乗ったような気分になれ、夜のブカレスト北駅も大都市を代表するターミナルながらまったりのんびりしていて雰囲気がよく、やや冷たくなりがちな空港列車らしからぬ様子はなかなか悪くないものでした。


景色は乗った後に(遠距離館)ルーマニアもくじ>このページ

inserted by FC2 system