ブカレストのターミナルと近郊電車


★ブカレスト北駅

 下の画像はルーマニアの首都ブカレスト最大のターミナル駅はブカレスト北駅(Bucuresti Nord)です。南から入ってくる線路が頭端式で終わる構造で駅舎はご覧の通りの威容を誇り、駅周辺には地下鉄・トラム・バス・トロリーバスと各市内交通が集まっています。

 さてブカレストにはこの北駅のほか街の東にも行き止まりのターミナル駅「ブカレスト・オボル駅(Bucuresti Obor)」があります。そちらはこの北駅よりずっと小さくランクの低い列車を細々とカバーしている感じ。

 この北駅とオボル駅いう2つのターミナルを結ぶ近郊電車が平日4往復走っています。行き止まり駅同士なので街中ではなくブカレスト市街地の外縁をぐるっと回って結んでいるのですが、大都市を走るたった4往復の近郊電車というのはちょっと気になり朝乗ってみることにしました。


★トロリーバス

 実のところ乗り鉄が目的でなければ北駅とオボル駅を結ぶ交通機関はその近郊電車ではなくトロリーバス85系統の方が便利です。こちらは街の中心部を東西に貫き頻発するごく普通の系統。私は北駅近くに宿をとったのでまずこの85系統で北駅からオボル駅に向かい近郊電車で戻ってくることにしました。 

 北駅の85系統乗り場は駅舎の太い円柱前。切符売り場もありバス待ちの乗客で賑わっています。ルーマニアはどこに行っても野犬だらけですが、頻繁にバスとトロリーバスが来るこの乗り場でもやっぱりウロウロ。

 そのうちに85系統が来たので乗りこみます。ブカレストのトラム・バス・トロリーバスは車内で自己改札する方式なので事前に切符を買ってから乗らねばなりません。(地下鉄は駅で自動改札を通る方式。)乗車券は従来の紙の切符とICカードの両方が使われているのでトロリーバス車内には新旧の改札機がついています。

 ブカレストの街中は近代的でさして車窓に変化がないのですが、トラム・バス・トロリーバスが走っているおかげで結構飽きません。乗客の方はというと中高年を中心に教会が車窓に見えるたび律儀に十字を切っているのがまず目に付きました。これはルーマニア中の乗り物で見かけたのでごく普通の習慣のようです。

 そのうち物乞いのオジサンが回って来るとパンかじってた若い女性がごく自然にカバンからパンを一袋取り出し渡していたのが目に付きました。オジサンは次の停留所で降りて早速ムシャムシャ。そんな大変そうだけど暖かい様子になごみながらの7〜8km、30分少々でオボル駅に到着します。


★オボル駅とバスターミナル

 いかめしい北駅にくらべオボル駅はこの通りかわいらしい駅舎でした。行き止まりの駅ながら西から来る線路は駅舎を過ぎ街に向かってヤードが延びているのでホームは頭端式ではなく通過駅風です。発着する列車が少ない駅なのでひと気がなくひっそりしていました。駅舎に向かって右隣にはこじんまりとした遠距離・中距離バスのターミナルがあります。


★近郊電車

 では窓口で切符を買って近郊電車に乗ることにします。ホームには鉢植えが下がりなかなかいい雰囲気。運用についていたのはフランスのステンレス電車Z6100の中古で日本の私鉄に通じるような湘南2枚窓のシンプルな顔つきとコルゲーションの組み合わせはなじみやすい感じです。

 シンプルなサボを見ると駅名の省略が多くちょっと前の京急で見られた「新町」とか「文庫」を思い出すところ。なおサボにしても切符の券面にしてもルーマニア語で使われる記号は省略してしまうことが多いようでした。

 客室は扉部分がデッキ状になっている構造でキレイに整備されています。


 発車ベルや放送は特になく車掌さんの笛で発車します。1日4往復の列車らしいと言うべきか車内はちらほらとしか乗客がいません。ルーマニアの鉄道の駅もヨーロッパ標準で改札口はなく走り出すと車掌さんが検札に来ます。

 発車からそう時間が経たずに閑散とした郊外の車窓になり、そのうちPantelimonという地域に入って新しく建てられた市場やショッピングセンターが見えてきます。この手のものが最近郊外に増えているそうで中国資本が入り中華街の市場版みたいなものも目立ってました。左の画像は駅前が市場のPantelimon Sud駅。この駅では買い物袋を提げた人が乗ってきます。

 右の画像はPantelimon駅。ここでブカレスト北駅からルーマニア東部に向かう幹線に合流し、スイッチバックのため数分停車して北駅に向かいます。

 Pantelimon駅から向きが逆になり、また郊外から街中に入っていくとふりだしのブカレスト北駅に到着です。オボル駅から24kmと距離はトロリーバスの3倍、その道のりをスイッチバックなどの停車時間を含め44分ほどかかって近郊電車乗り鉄を終えました。さすがに乗り通す一般客はいないようでしたからPantelimon地域とブカレスト両ターミナルを結ぶ足という列車なのでしょう。速度は遅くとりたててスゴイと感じる点はない列車でしたが、2つのターミナルを見物しつつちょっとの時間で乗りたいというときなかなか便利な存在だと思います。


★おまけ

 以下は着いた北駅で見た列車。これもやはりフランスの中古でBB25500電機に制御客車を含む客車(RIO)をつなげた機回しのいらない編成です。キレイに整備されているためむしろかもし出されるゲテモノ感に見ていて何とも言えない魅力を感じました。事業者はCFRではなくRegioTransでブカレスト〜ブラショフ間(夏季はブカレストからコンスタンツァまで延長)で運行されています。(※公開時この客車を電車の改造であると誤った記述をしました。訂正しおわび申し上げます。)


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