TEAの秘蔵っ子FIAT7131気動車(TEA後編)


 前編で見物したTEAの定期列車は長距離の客車列車ですが、TEAはイベントや貸切の時のみに使う気動車も所有しています。それを見せていただくため定期列車を見送った後Federico Lacroze駅の裏手にあるTEAの車庫に向かいました。特に看板もない車庫の門から入ると列車を送り出した後だけにのどかで、木が枝をのばし犬がのんびり寝そべる様子を見てなごんでしまいます。

 工房とでも言った方が似合うようなアットホームな雰囲気の空間で整備中の客車に混じりお目当ての気動車が奥に詰めていました。片運転台同士でCMU5968+CAU958の2両編成を組んでいて、見えているのはCAU958です。


 CMU5968のお顔を拝見します。ナマズ850とといもむし3400を足したような感じですが名鉄にしろこの車両にしろおそらくアメリカのデザインの影響を受けているのでしょう。製造初年は1958年(この車両は1970年製)とそこまで古くありません。この顔の側の台車を覗いたところ3軸でした。(他の台車は2軸)

 車内に入ると運転室は窓が広く展望がききそうです。客室には転換クロスシートが並んでいます。


 CAU958側は地味な平面顔ながらかなり柔らかい印象のなかなか好ましいスタイルです。運転室は左隅に寄っているためCMU5968側にくらべかなり狭くなっています。運転台はイタリアでよく見かける気動車のものに似ていました。

 運転室が左に寄っていれば当然右が余り、そのスペースは喫茶準備コーナーになっています。気動車の最前部でコーヒーなんかの準備をしているところを想像するとなんだか楽しくなりました。銘板を見るとFIAT MATERFERのものと近年更新をしたTEAのものが並んでいます。なんでも動かなくなっていたものを2007年にレストアしたとのことでうれしい話です。


 という具合で見るだけでしたが一度は乗ってみたいと思わずにはいられない魅力的な気動車でした。


(2010年訪問)


景色は乗った後に(表紙)アルゼンチンもくじ>このページ

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