架線下を走る気動車(テムコ〜ビクトリア)


 チリの鉄道で旅客列車が走っている区間は決して多くありません。そのうち幹線と言えそうなのは首都サンティアゴ(Santiago)から南のチジャン(Chillan)までの区間くらいです。

 その幹線の南端チジャンからさらに南にある町ビクトリア(Victoria)と〜テムコ(Temuco)間にどういうわけかぽつんと中途半端な飛び地状態の旅客列車が運行されていてちょっと気になり乗ってみることにしました。


 乗ったのはテムコです。この飛び地区間は1日4往復と決して便数は多くないのですが車両は予想よりずっとキレイな2両編成の気動車でした。ピカピカで新車といわれても信じてしまいそうなこの車両は実はスペインの593形気動車のお古で、台車にはスペイン国鉄の略称RENFEの文字が見えます。車両は気動車ですが走る区間は電化されていてずっと架線下でした。

 車内に入ると転換クロスシートが並んでいます。たかだか1時間20分の鈍行列車なのですが駅の窓口で手書きで発行された切符にはしっかりと座席指定が記載されていました。出発時点でほぼ席が埋まるくらい乗っていたので本数が少ない割に意外に利用客がいるものだと感心します。


 走り出すとスピードはあまり出ないものの清掃が行き届いた空調完備の車内は静かで非常に快適でした。固定窓で快適すぎると今ひとつ感もあるのですが。ただ鈍行ながらパリッとした白衣を着た車内販売のおじさんが飲み物やお菓子などを売りに回ってくるのなどちょっとうれしくなります。途中駅でもこまめに乗り降りがあって車内は終始結構にぎわっていました。

 地味な車窓を見ながら73kmほど北上すると終着のビクトリアに着きます。駅前にはバスターミナルやちょっとした露天市場などありましたが静かで地味な雰囲気です。ここからはバスに乗り換えビクトリア→ロスアンヘレス(Los Angeles)→ラハ(Laja)と移動し次の乗り鉄に向かいました。

 飛び地状ながら両端がバスの来る町で決して乗りにくい区間ではないのですが、ややキレイ過ぎるというかあっさりし過ぎというかでまあついでがないならわざわざ乗りに来るほどでもないかなというのも正直なところだったりします。


(おまけ)ビクトリアのバスターミナル

 ビクトリア駅付近にはバスターミナルが2つあります。駅前にあるバスターミナルには比較的長距離の会社が集まっていて中距離利用もできなくはないのですが本数はあまりありません。中距離移動に便利なのはBioBioバスターミナルで、こちらは駅前ではなく駅の北西に歩いて10分ほどのところにあります。私はあまり遠くないロスアンヘレスが目的地だったのでBioBioターミナルの方を利用しました。


(2010年訪問)


景色は乗った後に(表紙)チリもくじ>このページ

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