イギリスの保存鉄道 Ecclesbourne Valley Railway


 イギリスには驚くほどたくさんの保存鉄道があります。まずは蒸気機関車が目立つ印象ですが、気動車もかなりの数が動態保存されているのがうれしいところ。そこで気動車に乗るため保存鉄道の一つEcclesbourne Valley Railway(イクリズボーン渓谷鉄道)に行って来ました。


★行き方

 この鉄道はイングランド中部の工業都市ダービー(Derby)の北西、ダービー〜リーズ(Leeds)間を結ぶ幹線の途中にある小駅Duffieldから保存運行の中心となるワークスワース(Wirksworth)を経てRavenstorまで16kmほどの枝線を保存鉄道としたものです。

 ここに列車を使って乗りに行こうという場合、Duffield駅には幹線の優等列車は停まらないので、利用できるのはノッティンガム(Nottingham)〜ダービー〜Matlock間を結ぶ系統(East Midlands Trainsによる運行)のローカル列車のみです。またダービーのバスターミナルからDuffield、ワークスワースを経てMatlock、Bakewell方面に向かう6.1系統というバスもあります。(6.1系統の時刻表あり:Trent Barton公式サイト)

 私はダービーからワークスワースまでバスで向かいました。ダービーのバスターミナル(左の画像)から50分ほどで着くWirksworth Market Placeというバス停(右の画像付近)がワークスワース駅の最寄りバス停です。


 ワークスワースの町中にあるWirksworth Market Placeバス停から東側に歩いていくと10分とかからずワークスワース駅に着きました。町外れにあるためのんびりした雰囲気で、奥には気動車に蒸機・ディーゼル機関車・客車と様々な車両が見えます。記念品やお土産を売っているので乗る前から買ってしまったりも。

 さて発車時刻が近づいてきたため肝心の乗り鉄のためホームに入ると、この日の運行車両Class101という1950年代製の気動車が発車を待っていました。


 面白いのは時代の違う塗色で2両編成を組んでいること。帯の入った濃緑色が古い塗色、青緑に黄色い警戒色の方が後期の塗色です。


 扉はイギリス名物のスラムドア、すなわち内側からでも窓から手を出して外側の取っ手で開ける手動のものです。走行中はワゴンの車内販売が回ってきました。コーヒー・紅茶は1ポンド、缶ジュース75ペンスという値段は「遊び乗り」の列車ながら一般鉄道の車内販売(この訪英のとき乗った列車ではコーヒー・紅茶が1.65ポンド)より安く、つい手が出てしまいます。


 左:2等席・右:1等席。2等もEVRの刺繍入りカバーがついてなかなか立派ですが、1等はさらにゆったりしています。(片道切符で1等を利用する場合は運賃のほかに1ポンドの追加料金が必要で、往復切符の場合は追加料金なしで利用できるという料金体系。運賃は片道4.5ポンド・往復9ポンド。)せっかく2両編成なのにこのときはオフシーズンということもあってか乗客は10人に届かずちょっともったいない感じでした。


 訪問日は路線の北端Ravenstor〜ワークスワース(約1km)の列車は設定がなく、ワークスワース〜Duffield間(約15km)を30分かけてゆっくり走る列車だけが走っていました。Valleyを機械的に訳して上では「渓谷鉄道」としてみましたが、車窓を見ていると日本語の渓谷の険しそうなニュアンスはなくゆったりした丘の間にEcclesbourne川が流れる緩やかな谷です。渓谷だとちょっと意味が強すぎるかも。


 立体交差が多い路線ですが少しだけ踏切もありました。この場合一旦停止し、同乗している係員が降りて踏切を閉め、手旗で合図を送って通過という方法をとります。


 穏やかな景色を眺め車販の紅茶を飲みながらのんびりDuffield駅に到着。ホームもレールもピカピカです。

 この路線は営業廃止後に間をおいたあとワークスワース付近のみの離れ小島的な運行から始まって徐々に区間を延ばし、2011年つまりこの訪問の年にはついにDuffieldまでの全線で運行が開始されEast Midlands Trainsの列車(左の写真右の列車)と乗り換えができるようになったという経緯があります。

 イギリスには100を越える保存鉄道があるそうですが、今もこうして運行が復活する路線があり、いやはやなんたるスゴい国なのかと思わずにはいられませんでした。(2011年訪問)


★おまけ

 この路線の周辺には「乗れる」保存鉄道が他にも複数存在しているので以下リンクを貼っておきます。

■Crich Tramway Village 路面電車

■Peak Rail 蒸機・ディーゼル機関車による客車列車+軽便鉄道

■The Steeple Grange Light Railway 軽便鉄道


景色は乗った後に(遠距離館)イギリスもくじ>このページ

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