オデッサの路面電車(2)二軸単車と装甲蒸機


 朝のオデッサ中央駅を覗くと港街らしくカモメのマークをつけたラトビア製釣り掛け電車ER9が到着し大荷物がいくつも降ろされ壮観です。駅では電車に乗らず東にある公園を少し歩くとKulykove pole停留所があり、ここで折り返している18系統の路面電車に乗りました。駅から荷物を牽いて来て乗り込む人を見ると京成の行商列車から都電に乗り換えることもあったのかななどとふと思ったりもするところです。オデッサの丸いタトラT3は生え抜きの他に他都市からの中古車もあり、ここで当たったのはプラハから来た車両で車内の注意書きにはチェコ語が残っていました。


 走り出して車窓を見ていると6st.Fontanuskoi Dorohy電停でなんだか電車らしきものが見えたので降りてみることにします。近寄って見るとかつてオデッサで活躍していた旧ソ連製の電車を模したとおぼしきレストランでした。折り返し用ループの真ん中にあるのも面白くこんなところで食事をするのも面白そうです。


 思わぬ途中下車のあとは18系統の南端16st.Fontanuskoi Dorohyまで乗り通しました。ここから先は19系統が続いていて両方の折り返し用ループが隣り合う面白い配線です。乗って来た18系統は日中12〜3分毎とそこそこの頻度だったのが19系統は毎時2便程度とぐっと少なくなります。


 19系統で乗ったのも丸いタトラですが中扉がなく前後扉だけでした。また18系統がツーマンだったのに対しこちらはワンマンで運賃は降りるとき運転士さんに直接払うのでいかにも街中から離れた末端の系統という感じがします。さらに単線で専用軌道や路傍を走り、というのを見ていたらふと今は無き名鉄の美濃町線を思い出してしまいました。途中交換設備がありましたが乗車時は1運用のみで行き違いはせずに通過します。


 単線を面白がっているとほどなく19系統の終端Memorial 411-i batareiに着きました。ここから先はもう線路は続いていません。運賃を払って降りると片運転台のループ折り返しなので途中の電停のようにすぐ16st.Fontanuskoi Dorohyへと走り去って行きます。


 Memorial 411-i batareiという電停名は近くにある公園のことでこれは第二次大戦中のオデッサ防衛戦を記念したものです。なので寄ってみると物騒なものがたくさん並んでいました。装甲つきの蒸機なんてのもあります。


 二軸単車もあるというので見に行くとくっついている貨車に物騒なものが積まれていました。窓ガラスや走行機器、座席などは取り外されたやや寂しい姿です。

 という具合にトラムレストランや単線を見ながら着いたところで蒸機や二軸単車も見物できなかなか悪くない散歩コースという感じになりました。


(2017年訪問)


景色は乗った後に(表紙)ウクライナもくじ>このページ

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