ウクライナの長大ナローゲージ(後編)車庫の車両群


 前編のつづきです。ホロヴァ二ヴシクまで往復し昼下がりのハイヴォロンに戻って来ました。乗って来た列車の入換が終わると夕方のルドヌィツャ行きまで旅客列車の発着がないので構内は静かになります。その列車に乗る予定なので時間が空くためしばらく周りを見物することにしました。ナローと広軌が同居する駅だけあり色々な車両が置いてあります。


 広軌の事業用車と自動車がそのままナローにのっかったクルマが並んでいる光景はなんとも妙なものです。ここがクルマ専用留置スペースなのか小さなターンテーブルもありました。旧ソ連時代のGAZの乗用車を軌道用にしたものだそうですがご丁寧に排障器がついているのも面白いものですね。


 その奥には重機が載っていたりいかめしい除雪車が留置されていたりです。


 車庫を見たあとはホロヴァ二ヴシク側へ四線軌条を見物しながら歩いてみます。途中まで並走する広軌の貨物線から貨物列車がやって来ました。そのうち突き当たる踏切が四線軌条なのは当然と言えば当然なのですが見慣れないものなのでちょっと感心してしまいました。この踏切を左折すると機関車工場の門があり向かいには蒸機が置かれています。


 見物を終え夕方駅に戻るとナローの除雪車が迎えてくれました。今度は西側に向かうルドヌィツャ行きに乗ります。


 ハイヴォロンを出発したときの乗客はあまり先に行かないうちに結構降りてしまったので3両も客車をつなげているしあとはガラガラだろうと思っていたら交換駅のベルシャジ(Bershad)で大荷物を持った乗客がいくらか増えました。荷物置き場が座席の下では足りずあちこちに積まれるとそれほどでもないのにずいぶんと乗客が増えたような雰囲気になります。


 夕方から夜になり暗くなると多少冷えてきました。ストーブ室はありますが秋口でまだ暖房の準備はされていません。そこまで寒くはないので上着を羽織ってうつらうつらしていると周りも寝ているので夜汽車の気分です。やがて車内がそろそろという雰囲気になりハイヴォロンを出てから3時間55分で広軌と接続する終点のルドヌィツャに着きました。暗くホームだかよくわからないようなところですぐに機回しが始まり大荷物が降ろされ徐々に静かになります。


 夜行列車に乗り換えるため広軌のホームに移動するとこちらは照明がありだいぶ駅らしい感じです。駅舎に入ると待合室は結構広くとられていて落ち着いて列車を待つことができます。約1時間の待ち時間後にやって来た夜行列車をつかまえて乗ったのは3等寝台のプラツカルタ(Platskarta)です。横手方向の寝台に加え通路を挟んだ側には長手方向の寝台も並ぶ堂々たる車内に入るとナローの小さな客車に乗ったあとだけにいよいよ大きい車両に見えました。


(2017年訪問)


景色は乗った後に(表紙)ウクライナもくじ>このページ

inserted by FC2 system