ハノイ〜ハイフォンの都市間列車


 ベトナムの首都ハノイで1日時間が空くことになり日帰りで乗り鉄できるところを考えました。できれば同じ路線の往復ではなく周遊コースの方がいいなあ、という点でちょうどよさそうなのがハノイ〜ハイフォン(Hai Phong)の列車とイェンヴィエン(Yen Vien・ハノイ郊外)〜ハロン(Ha Long)の列車です。路線は違うもののどちらもハノイとハノイ東部を結んでいてハイフォン〜ハロンはバスで移動できます。この2つの列車とバスでハノイ東部をぐるっと回って来ようと方針が決まりました。


 決めた周遊コースは2つの列車のどちらに先に乗っても日帰りでハノイに戻れるのですが、朝出る時間がハイフォン行きならハノイの中心部のハノイ駅6:00発、ハロン行きだとハノイ郊外のイェンヴィエン4:55発なのでなるべく朝ラクをしようとするとおのずと先にハイフォン行きと決まります。幸いベトナムは日本と2時間時差があるのでハノイ駅は東京だったら8:00発と思えばいよいよラクになりそうですが、ハノイ駅に着いてもまだ暗いのでやっぱり早朝に感じあくびが出ました。改札を通り跨線橋に上がって一番奥の10番線で下ると赤いチェコスロバキア製のディーゼル機関車が先頭に立つハイフォン行きが発車を待っています。


 この列車は全車指定席で、空調ありの軟らかい座席、空調ありの硬い座席、空調なしの硬い座席の3ランクがあり切符を買う時どれにするかちょっと迷うところです。朝は涼しく軟らかい座席は既に別の列車で乗ったあとだったので一番安い空調なしの硬い座席にしてみました。座席はまさしく硬い木のボックスシートです。またデッキには満席のときに使われるプラスチックの補助椅子が重ねてありました。これを使う場合は座席指定がある運賃より安く日本の立席に近い感じです。


 発車時刻の6:00になるとしずしずとホームを離れ、単線になってまず狭いハノイの市街地を走っていきます。線路脇にひとんちやお店の玄関もあるので江ノ電のような感じです。その後高架に上がってホームというのか踏み台が散らばるあっさりしたロンビエン(Long Bien)駅を通過します。(右は後日市街地を通る列車を外から見たときの画像)


 ロンビエン駅を通過するとすぐに観光名所にもなっているロンビエン鉄橋です。幅の広い紅河を渡った先のザーラム駅(Gia Lam)に着くと中国の客車が停まっていました。乗っている列車も含めベトナムの標準的な軌間はメーターゲージながら中国との国境からここまでは標準軌との三線軌条なので中国からの国際列車もやって来るというわけです。ザーラム駅でその中国に続く路線と分かれるとあとはいかにも紅河のデルタ地域というのか平たく水っぽいところを走っていきます。ザーラムの次の停車駅カムザン(Cam Giang)までは35km38分、その次のハイズオン(Hai Duong)までは17km19分という具合にだいぶ間が空き、首都ハノイとベトナム第3の都市ハイフォンを結ぶ路線だけあり開けていてさして起伏もないとなるとややダレて来ますが幸いそういうときに車内販売のワゴンが来たのでコーヒーで気分転換ができました。


 踏切にバイクが溜まるだいぶ街らしい雰囲気になるとハイズオン駅で、列車交換の停車時間があるため軽食や飲み物などを持った売り子さんはかき入れどきです。こういうときは窓が開く空調なしの方が便利ですね。


 ハイズオンを出るとまたそれなりに開け起伏の少ないところを走っていくのでうとうとしてしまいました。気がつくとハイフォンの街に入っていて、速度をやけに落とすと思ったらなんだかずいぶんと大きく地下を掘っている工事現場が見えます。発展著しいベトナムだけに大規模な開発でもされるのでしょうか。そのうちに落ち着いた市街地に入りハノイ側とはまた違った趣の明るく狭いところを通っていきます。(右の画像は後で外から見たもの)


 狭い市街地の先がハイフォン駅です。ハノイを出たのが暗い時間だったからか、あるいは港街で海に近いという先入観からかそれとも駅舎が黄色いからかハイフォン駅に降り立つとずいぶんと明るく感じました。ハノイ駅からここまで102km2時間25分とそれなりの距離・時間を走り車内販売もある客車列車となると特急列車っぽい感じではありますが、両端に市街地の狭い区間があるからかどこかインターアーバンっぽいというか近郊電車っぽいというかちょっと変わった後味です。ハイフォン駅からは散歩がてらバスターミナルに出て次に乗る列車の始発駅ハロンへとバスで移動しました。

(ハロン駅で乗った列車の話はこちらです。)


景色は乗った後に(表紙)ベトナムもくじ>このページ

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